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現場主義

 「農業を今年の社会主義経済建設の中心と定めた今年の共同社説に触れ、農民は『自分たちを表舞台に引き立ててくれた。この恩に報いるためにも収穫高を上げることに全力を傾けよう』と意気揚々としている」

 先日、会った平壌市楽浪区域協同農場経営委員会のキム・インチョル技師長(43)の言葉だ。

 二毛作を農業分野での主要課題としている朝鮮では、2月末から3月初旬にかけて麦やジャガイモなどの種蒔きがいっせいに始まる。楽浪区域にあるナムサ協同農場でも、9、10の両日にかけて大麦の種蒔きが行われ、その様子を取材した。

 「例年は2月末から3月初旬にかけて種蒔きを行うが、雪が降るなど天候が寒かったことから、土が溶けるのを待って一気に行った。適当な時期に種蒔きを終えないと、その分収穫高が落ちるからだ」とキムさん。同農場で植える大麦はビール生産用。約100ヘクタールの農地に蒔いた。

 昨年は天候や肥料など悪条件が重なったものの、計画を超過達成したという。「今年は条件的に恵まれているので、さらなる収穫高が期待できる」そうだ。

 キムさんは長年、西海岸地帯のある協同農場の管理委員長だった。現在でも自宅はその場所にあり、妻もそこに住む。月曜日から金曜日までは事務所で寝泊りし、週末は自転車で1時間半かけて家に帰り、ゆっくりと過ごすそうだ。

 「平壌に引っ越すことも考えたが、近所の人たちとも親しい妻は、今さらここを離れるつもりはないと反対した。私も都会の高層アパートよりは、長年暮らしてきた質素な平屋の方が性に合う」とキムさんは笑った。

 事務中心の仕事より、農民たちと一緒に土に触れながら現場で働くのが好きだというキムさん。しかし、「この仕事を任せてくれた国の期待を裏切らないためにも、受け持った農業分野で成果を収めたい」そうだ。(松)

[朝鮮新報 2005.3.22]