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「元気の素」

 総聯の地域本部や支部で、同胞高齢者のための介護施設を開設するニュースが目立っている。支部事務所など既存の建物を開放して、同胞高齢者が集まる場所を提供するケースもある。

 先月、同胞高齢者の集まりを取材したときのこと。

 ハルモニたちが待合室でお茶を淹れていた。少し離れたところに座っているハルモニにお茶を運ぼうと、お盆を取った。

 隣に座っていたハルモニの一言にとまどいを隠せなかった。「記者の先生は座っていてください」。先生だなんて…それこそ孫と同じぐらいの歳なのに…なんてことを思いながら、それでも笑ってお茶を運んだ。

 そこでもう一人のハルモニが一言。「若い人はどこに行ってもしっかり働かないとね!

 それを見るのが私たちの楽しみだから」。またまた思わず笑ってしまった。

 いろんなところで言われる言葉ではあるが、このときほど実感をもって受け止めたことはなかったかもしれない。ここに集まったハラボジ、ハルモニの願いとして聞き入れたからか。

 ハラボジ、ハルモニたちはみんな元気だった。体もそうだが、なんといっても気が若い。そのうえ仲のいい人たちとこのように定期的に集まり、一緒に歌を歌ったり食事をしたりすることでさらに元気になるのだと思う。そのような「元気の素」を総聯の支部などに設けることが、ハラボジ、ハルモニたちにとって励みにもなっている。

 今まで一番苦労してきた人たちだとはよく言われることだが、今のこの情勢に最も心を痛めているのもハラボジ、ハルモニたちだと思う。彼らに肩の荷が下りたと思ってもらえるような社会に早くなってほしいし、しなければならないと思う。

 でも「ハラボジ、ハルモニのためにがんばります」などと言ったら、「百年早い」と一蹴されるかもしれない。(麗)

[朝鮮新報 2005.5.17]