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総連結成50周年 社協シンポ 「過去」と「現在」、「未来」話し合う

 総連結成50周を記念して5月21日、在日本朝鮮社会科学者協会(社協)主催のシンポジウムが東京・池袋の東京芸術劇場で行われた。1部と2部に分かれ長時間にわたって行われたシンポジウムでは、50年にわたる総連の業績と在日朝鮮人運動の教訓、同胞社会の変化と今後の在日朝鮮人運動の課題と対策について、社協メンバーの学者、研究者、言論人らが話し合った。

同胞と祖国、日本社会、同胞組織

総連と在日朝鮮人運動の「過去」と「未来」に関して活発な意見交換が行われた社協シンポジウム(5月21日、東京・池袋)

 シンポジウム1部は、50年の間に総連が築いてきた業績と在日朝鮮人運動の歴史的教訓について3人の報告者が報告したあと、3人が討論した。いわば「過去編」。

 テーマ1は「在日同胞と祖国」。朝鮮大学校の金哲秀講師が北南朝鮮の在日同胞政策について、歴史的にたどりながらわかりやすく報告した。その中で金講師は、1960年代初までは南では海外同胞政策自体が皆無だったと述べ、逆に北では解放翌年の46年から同胞保護政策の実施と国家建設における在日同胞の任務を表明した点を指摘。「在日同胞政策は共和国海外僑胞政策の基本であった」と語った。

 そのうえで、本国の在日同胞政策策定とその実行において、総連が引き続き役割を高めていくことの必要性を強調した。

 テーマ2「在日同胞と日本社会」では、朝大文学歴史学部の李英洙学部長が、日本当局の在日朝鮮人政策と社会の差別構造について、@連合国軍総司令部(GHQ)Aサンフランシスコ講和条約B「韓日協定」締結C70、80年代D最近−という時代区分で分析した。李学部長は、@総連は母なる祖国を代弁する真の権利擁護団体Aたたかいを通じてのみ自主性創造が可能B日本当局の政策是正の必要性(朝鮮敵視政策の放棄)−が在日同胞の民族的自主性を擁護固守するための総連のたたかいと歴史的教訓であったと指摘した。

 1部最後のテーマ3は「在日同胞と同胞組織」。総連が50年の間に獲得した物と教訓が何であったかについて、在日朝鮮人歴史研究所の呉圭祥研究部長が報告した。

 呉部長は「半世紀にわたる活動過程における総連の獲得物は、総連組織とその活動内容、そしてそれを保証する人材である」と指摘。このような活動で得た教訓は、総連の活動を新たな高い段階へと発展させる貴重な保証となると述べた。

関心の高い問題に関する対応策

 1部が「過去編」だったのに対して2部は「現在・未来編」。「同胞社会の変化と新段階の在日朝鮮人運動の課題と対応策」と題し、3人が報告し、3人が討論した。

 テーマ4「新世代と民族性」について報告したのは朝大の朴在勲講師だ。在日同胞新世代を対象に行われたアンケート調査の結果を踏まえ、民族性意識の変化とその要因について具体的に分析した。

 現段階における在日朝鮮人運動の権利擁護の課題に関しては、朝大政治経済学部の朴三石副学部長が報告。在日朝鮮人の法的地位、権利問題に関して同胞の関心が高いものに焦点を合わせて在日朝鮮人の民族的権利を擁護拡大するための具体的な課題と今後の展望について述べた。関心の高い問題とは、教育権、社会保障、年金問題など。また、在日朝鮮人と関連した歴史の真相究明問題、謝罪と補償の問題における要求課題などに関しても言及した。

 テーマ3の「転換時代の同胞経済生活」については朝大の李平太講師が報告した。李講師は「解放から今日に至る在日同胞の歴史は、祖国の保護のもとに日本政府のあらゆる差別に打ち勝ちながら、日本の複雑な政治、経済環境下で相互扶助の精神で企業権と生活権を固く守り、自己の安定した経済活動を保障し祖国と民族の富強発展のために貢献してきた誇らしい歴史」だと前置きしながら、商工団体の結成から今日に至るまでの歴史的経緯をわかりやすく解説した。

 また、同胞の経済活動を取り巻く主客観的環境が大きく変わったとして、それに正しく対応してこそ、同胞たちが日本という困難で複雑な環境下で、経済的にも安定できるとしながら、「相互扶助の精神を今日の環境に沿って新たに模索し、これを組織的な力として展開しなければならない」と結論づけた。(文聖姫記者)

[朝鮮新報 2005.6.4]