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特攻隊と靖国問題

 取材で南九州を訪れた。宮崎駅に降り立ち、辺りを見回しているところにタクシーの運転手が近づいてきた。市内観光しないかと持ちかけられたので、興味本位で宮崎の見所について聞いてみた。運転手は得意げに観光スポットを枚挙したのだが、その一つに宮崎空港を挙げた。

 宮崎空港は日本の敗戦まで南九州最大の航空基地として、特別攻撃隊や雷撃隊の出撃基地であった。いわゆる「神風特攻隊」がここから飛び立っていたのだ。その慰霊碑が空港のそばにあるという。

 南九州には日本陸・海軍の飛行場が多数あった。隣の鹿児島県では、5つの基地から数千人が出撃した。知覧や鹿屋には資料館がある。戦没者の遺影が掲げられており、遺品や模型が展示されている。

 知覧特攻平和会館には朝鮮人の遺影も展示されている。靖国神社に朝鮮人が合祀されていることと無関係ではない。同会館は、小泉首相が涙を流したことで知られている。その数カ月後、内閣総理大臣に就任。「終戦記念日」の靖国神社参拝を明言した。

 アサヒビール名誉顧問・中條高徳氏は、新しい歴史教科書をつくる会の会報で「靖国神社に詣でる事をしない政治家に、国政に参加する資格はない」とした。

 その「中條基準」による有資格者たちは妄言を繰り返す。自民党の安倍晋三幹事長代理は首相の靖国参拝を「当然の責務」としており、中国などの批判を「内政干渉だ」と述べた。森喜朗・前首相は「いちゃもんもいいところだ」と述べ、森岡正宏・厚生労働政務官は「極東国際軍事裁判は占領軍が勝手に作った一方的裁判だ」と述べた。

 侵略戦争の指導者が祀られている靖国を首相が参拝することで、多くの人が傷ついている。この事実を認識しないかぎり、問題は収まらない。特攻関連の資料館は、その侵略戦争の本質を隠すためのカムフラージュでしかない。(泰)

[朝鮮新報 2005.6.7]