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イギョラ! 安英学!-5-〜朝鮮代表、名古屋へ〜 中心選手としての自覚

 「Jリーガー」「国家代表」―安英学自身は目標としてきたものが現実となった。次は「子どもたちに夢を与えたい」と語る。

 2月9日のW杯アジア最終予選、日本代表との試合で見せたタフネスぶりは記憶に新しい。同胞サッカー少年たちはそんな安の姿に魅了され、可能性と夢を大きくふくらませたはずだ。

 安以前の在日の朝鮮代表は金光浩(朝鮮大学校サッカー部監督)、金鐘成(東京朝鮮高級学校サッカー部監督)ら朝鮮蹴球団出身者で占められた。しかし、「朝鮮代表に選ばれ、さらにレギュラーになるなんて昔は夢のような話だった」と在日本朝鮮人蹴球協会の文章弘会長は語る。

 「『お客さん』的な部分が少なからずあった」からだ。

名古屋グランパスエイトに移籍後、開幕戦にスタメン出場した安選手(3月5日、瑞穂陸上競技場)

 アルビレックス新潟に入団後、1年目で朝鮮代表に召集がかかった安は02年、ソウルで行われた北南統一サッカーに出場した。後半40分からの出場。「悔しい思いをした」という。

 「とにかくJリーグで試合に出て結果を出そう。そうすればおのずと代表への道も見えてくる」と信じた。

 そのかいあって、Jリーグでの実力が認められ始め、同時に蹴球協会の熱心な計らいで、04年9月のW杯1次予選のタイ戦に先発出場を果たした。2ゴールを決める活躍で、レギュラーの座を不動のものにした。

 「安は本当によくやった。朝鮮籍で日本でサッカーをやっていくことがどれだけ難しいか。今までの在日サッカー選手がぶつかってきた壁。それでもできるって事を証明してくれた。その影響は計りしれない」(文会長)

 2月9日の日本代表戦を前にして、朝鮮代表のユン・ジョンス監督は安の印象についてこう語った。

 「技術が高く、朝鮮人としての体質を持ったいい選手だ。日本に住みながらも朝鮮の実情もよく知っているし、日本の選手たちには負けないという精神力もしっかり備わっている」

 そして「在日朝鮮人サッカープレーヤーのみんなに代表への道は開かれている。実力さえあれば誰でも呼ぶ。安英学、李漢宰選手に続いてほしい」と付け加えた。

 今季、名古屋グランパスエイトに移籍した安選手。3月5日の開幕戦でスタメン出場を果たし、ベストプレーヤー賞にも輝いた。

 安は移籍が決まった当時の心境をこう語る。

 「むちゃくちゃ悩んだけど、自分の殻を破りたかったんで決断した。名古屋に行くまでは、ずっと新潟でやりたいというぐらい愛着があった。サポーター、土地柄がとても好き。スタジアムに4万人も入るチームなんてそうそうありませんから。温かい人ばかりだし、ご飯もおいしいですしね(笑)」

 現在の目標はJ1リーグ優勝。名古屋ではコンスタントに試合に出場して、リーグ優勝を果たしたいと語る。「チームには若い選手が多く、雰囲気もすごくいい。朝鮮代表選手という自覚があるだけに、自分が引っ張っていかなくちゃという意識がある。ふぬけたプレーはできない」。

 名古屋に降り立った安は、すぐに県内の同胞へのあいさつに回った。

 「総連本部のイルクン、女性同盟のオモニたちにも『名古屋に来たんで応援してください』と」

 新潟にいた時と同じく、名古屋でも無邪気な姿が見られる。「子ども好き」のスタンスはどこにいても変わらないようだ。「愛知朝高サッカー部の練習にも参加した。生徒たちと交わるのがとても好きだから」。

 夢はW杯出場と海外リーグでプレーすること。「これからも変わらないし、必ず実現させたい」。(金明c記者)=おわり

[朝鮮新報 2005.6.16]