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「うらやましい」

 初めてインターハイの取材をした。朝高の生徒たちが日本の大会に出場できるようになったという事実はもちろん知っていたが、実際に見るとやはり感極まるものがあった。

 自分が学校に通っていた頃は、想像もできなかった日本の大会への出場。競技に参加して、自分の実力を思う存分発揮している今の生徒たちが、ちょっとうらやましかった。

 今回取材したのはボクシング。ボクシングは、都道府県別に監督、コーチ、セコンドをつけているので、監督が朝高、コーチが日本の高校の指導員ということもある。

 ボクシングは個人と学校別で成績が競われるが、同じ都道府県の代表という連帯感があるようで、大阪から来た日本学校の関係者たちは、「金、がんばれよ!」と、大阪朝高の生徒たちにも熱い声援を送っていた。

 同じ都道府県に限らず、朝高の生徒たちと対戦する相手はもちろん、ボランティアとして参加している地元の高校生にも、朝高の生徒たちに対する妙な差別意識はない。

 「狂乱的」とさえ言えるメディアの「北朝鮮バッシング」は相変わらず続いている。やや穿った見方だが、東アジアサッカー選手権の放映過程での言葉の端々に朝鮮に対する蔑視がうかがえたのも、その延長線上にあるのではないだろうか。

 こうした異常な状況の中でも、生徒や関係者たちはそれに染まることなく、朝高生たちと普通に接している。

 「百聞は一見にしかず」という言葉があるが、連日同じような映像を使った真偽のわからないようなメディアの報道と、ありのままの朝高の生徒の姿では、後者の方がよほど説得力を持っている。

 日本の大会に参加し、日本の人と普通に接することで、草の根交流を実践している朝高生たち。

 一昔前の朝高生からすると、これもまたうらやましいことだ。(松)

[朝鮮新報 2005.8.9]