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〈朝鮮の食料問題解決とジャガイモ栽培C〉 2千ヘクタールの畑地で栽培

 総聯ジャガイモ栽培技術代表団の第1回目の活動は、最初4月の訪朝の予定がいろいろな事情で大きく遅れ、2001年の5月10日から5月17日の期間に行われた。この訪朝時期の遅れがどのような結果をもたらしたのかについては後述することにして、まず現地入りして現地の関係者から聞き取りしたジャガイモ栽培の実情について説明することにしよう。

 大紅湍では従来から種いもは全粒いもで、種子消毒、浴光催芽の前処理は行われず4月下旬から5月上旬にかけて植えつける。

 大型トラクターによる4畦のプランターで植えているが整地作業が荒いため、覆土の深浅がまちまちで雑草も多い。裁植密度は75×20センチ(ヘクタールあたり6万6660株)、施肥量はN、P、Kが20:20:15の割合で泥炭、堆肥と混合表面施肥の方法をとっている。

約7ヘクタールの作付面積で試験栽培が行われた

 病害は主に疫病で防除時期、農薬散布の回数については一定していない。

 枯凋剤として重過燐酸石灰を散布するとのことで、平均収量は約32トン/ヘクタールという。

 大紅湍の耕地面積約1万ヘクタールの中でジャガイモは約2000ヘクタールの畑地で栽培しているとのことだった。

 試験圃場は大紅湍綜合農場の西頭分場に定められ、約7ヘクタールの作付面積で試験栽培を行うことになった。

 試験圃の土壌条件をみると、作土は25センチほどでその下は粗粒の火山灰が数10センチ堆積しているという。

 地形はやや平坦であるが、道路側とその反対側は傾斜しており、精密な圃場管理ができていないので凸凹が多い。

 火山灰土であるので排水は良好と判断されたが、畑地の窪んだところは7〜8月の雨期には心配だ。

 土壌の地力を見ると有機質含量が3%程度で、開拓から50年を経た現在、化学肥料に依存してきた管理の影響がどうなのか不明である。

 試験区には北海道の紅丸と農林1号の2品種を選び、2つ切り区と全粒区に分けて実施した。

 これらの種いもはその年の4月16日から実施した浴光催芽の結果、芽は動いていたが、5月上旬の低音により一部凍傷にあい黒色心腐れの症状が目立ったものは厳選に取り除いた。

 5月13日に種いもの消毒を行い、手植えは畦幅75センチ、株幅25センチの間隔をとり、機械植えは株間を28センチとして播種を行なった。

 施肥はN、P、Kが100:240:140の配合肥料とEM菌をまぶした泥炭とダイアジノン粒剤を混用してヘクタール当たり1トンの割合で行った。

 シバムギなどの雑草が多かったので、手で雑草の根を拾うよう指示し、培土作業も仮培土、半培土、本培土をそれぞれ生育に合わせて3回に分けて行うよう指導した。

 疫病防除についても早期防除に努め、発生直前から7〜10日間隔で農薬散布を行うこと、また、気象観測や営農作業、生育調査などの記録をこまめにとることを作業員たちに指示して大紅湍を離れることにした。

 試験栽培の合間に現地の人たちに行った講習と意見交換の内容は前号ですでに紹介した。(洪彰澤、元朝鮮大学校教授)

[朝鮮新報 2005.8.31]