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〈朝鮮の食料問題解決とジャガイモ栽培F〉 温度調節に大わらわ

 代表団は試験栽培1年目の経験と教訓を生かし浴光催芽を4月1日から始めるということで、大紅湍での活動の開始を早めた。

 2年目の最初の訪朝期間は3月27日から4月30日と3年間のうちで一番長い滞在となった。

 4月1日に大紅湍入りをした代表団は4月とはいえ田畑がまだまだ凍りつき、夜半から明け方まで零下5〜6℃の肌を刺すような寒さが続く中で作業を進めなければならなかった。

大紅湍2年目の試験栽培で(代表団と現地の作業員)

 浴光場は面積1.5メートル×4メートルほどの長方形で深さ30センチの土溝に麦わらを敷き高さ1メートルほどのビニールテントを張って代用することにした。

 この簡易浴光場は暖房機を入れても夜半には1℃近くまで下がり、昼間は日が照ると30℃近くまで温度が上がる。それで試験圃の管理員たちは暖房機の出し入れや、ビニールテントの上に麦わらを被せたりテントをまくり上げたりなど温度の調節作業におおわらわだった。

 強風にあおられたときなどビニールテントが吹き飛ばされないように夜を徹して守ったこともたびたびあった。

 試験圃はカラマツの防風林に囲まれた国道沿いの11ヘクタールほどの規格化された畑作圃場を選び、その内の3ヘクタールに外来の品種を、3ヘクタールに朝鮮の在来品種を配置して計6ヘクタール規模の試験栽培を行うことにした。

 また品種比較試験区を近くに設けて品種毎の特性比較をすることにした。

 試験圃の整地については1年目の経験を生かして徹底してやるよう申し入れ、堆肥を1ヘクタールあたり50トン、泥炭を40トン、これに化学肥料1トンを配合して散布するようにし、雑草や前作作物の残留根を抜きとるよう指示した。

 送られてきた種イモの到着が少し遅れたのでまず4月3日に在来種から消毒を行い浴光催芽を実施することにした。とくに送られてきた種イモをみると輸送の途中で芽が伸びたものが多かったので伸びた芽の摘みとり作業を行った。

 今回も作業員たちを集めて試験栽培の要領や栽培技術に関する指導を行った。

 技術指導の主なものを挙げると、

 ・種イモ消毒の重要性とその方法
 ・浴光催芽の重要性とその方法
 ・培土作業の重要性とかまぼこ型培土機で行う培土の方法
 ・ジャガイモの生育時期に合わせた仮培土、半培土、本培土の方法
 ・播種機を使って4月からの移植と移植後の草とり、農薬散布などの営農作業の方法
 ・気象観測と生育状況記録の重要性とその記録の方法など

 以上のように、2年目の試験栽培の目標と計画を立てて、種子消毒、浴光催芽、移植を終えた代表団は4月の末に7月の再会を約束して大紅湍をあとにした。

 外国から輸入した機資材、農薬や肥料などが輸送の関係で代表団が大紅湍滞在中には到着せず、実際に検分することができず、心配だったが、日程の都合でどうしても滞在を延ばすことはできなかった。

 この年2回目の訪朝は7月に実現した。1年目の経験と教訓が生かされたのか、代表団は不安と期待感を抱えながら2回目の現地入りを果たした。活動と経験については次回に報告する。(洪彰澤、朝鮮大学校元教授)

[朝鮮新報 2005.9.14]