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争いを起こす水

 今夏、四国は深刻な渇水に悩まされた。四国4県に用水を供給し発電もしている早明浦ダムは、2度も貯水率0%を記録した。

 7月末に香川県、徳島県を横断して愛媛県を訪れた。そのときは、あれほどまでに被害が広がるとは思ってもみなかった。何も考えずに水をジャブジャブ使ってしまった。

 昔から、アフリカや赤道直下の一部の国では、水源が干上がったりして飲み水の確保もままならないという事態があった。

 いわゆる天災であって、人間の力ではどうにもならない。しかし、これが人災となれば話は変わる。

 そもそも人間が生きるうえで水は欠かせない。水を飲むことは、空気を吸うのと同様、必要不可欠だ。

 日本では、どこでも水を飲める。だが、世界には淡水(真水)を自由に利用できない国が多い。それだけでなく、「ごく一部の国のごく一部の人間」が石油や天然ガスのように、淡水を商品化し利権を握っている。

 淡水を確保できない国には、タンカーやボトルにつめて運ばれる。だがこの国際援助が支配関係を生みもする。

 さらに、水源の確保が国際紛争の火種にもなっている。水源のある国の機嫌を損ねると、下流に位置する国は大変なことになる。

 実際、アラブとイスラエルの紛争は、ヨルダン川の水源をめぐる争いが根底にある要因の一つだ。イラクのバグダッドの南で合流するチグリス川とユーフラテス川の水源はトルコにある。

 水利権を持つ側は、ただ同然の水をペットボトルにつめて高く売る。それを消費者側は石油の数倍、水道水の数千倍の値段で毎日のように買っている。

 水利権を握る「支配階級の片棒を担ぐのはやめよう」などと言う気はないが、水を大切にすることは誰にでもできる。節水が天災、人災、両方に効く最良の「薬」だと思う。(泰)

[朝鮮新報 2005.9.20]