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〈朝鮮の食料問題解決とジャガイモ栽培H〉 60トン生産水準を確保

採種体系

 2回目の訪朝で代表団は試験圃での生育調査や現地の人たちとの意見交換を通して、ジャガイモ生産で60トン水準の収入を上げることができるという確信をもつことができた。

 われわれが確信をもつに至った最大の理由は何といっても大紅湍でジャガイモ農業が実践されたということにつきる。

 4月のはじめから現地入りして、種イモ消毒をきっちりとやり浴光催芽も温度管理を徹底させ、植え付け後は生育時期に合わせた培土作業を適正に行い、疫病防除対策も適期に行うなど播種機や培土機を効果的に使って営農作業を精密農業の水準にまで高めることができたと言っても過言ではないと思う。

農林1号の生育状況(手植え、切りイモ。01年7月)

 また2回目の訪朝ではっきりしたことは、大紅湍で採種体系を確立し、無病無ビールス種イモ生産の土台がしっかりと構築されたということである。

 以前にはジャガイモ生産で重要なのは疫病対策だと考えられていたが、この時点で多くの人たちは無病無ビールスの種イモをつくって植えなければだめだ、そのためには一日も早く採種体系を確立しなければならないという認識をもつようになった。

 大紅湍では何年も前からジャガイモ研究所で生産された原々種、原種を採種圃に移し、無ビールスの1級採種を生産してはいるが、供給量が不足し、加えてビールス検査が徹底されず純度保持の面で問題が多かった。

 しかし、04年には300ヘクタールの採種圃で生産された無ビールスの種イモを2000ヘクタールのジャガイモ圃場に供給できる体制を組んでいるということだった。

 種イモはいつまでも外国から輸入するわけにはいかない。しょせん自力で生産するほかないのである。そういう意味で大紅湍が中央に頼ることなく、自分たちの力で採種体系確立の見通しを切り開いたということは非常に意味深いことだと思う。

 この年のジャガイモ生産で確信を得た代表団は、ジャガイモ農業のよりいっそうの発展を期する意味でいくつかの技術的な問題について強調し、9月の再会を約束して大紅湍を離れた。

 代表団が強調した問題点のひとつは採種体系をより精密に築くための啓蒙と宣伝活動が必要だということだった。

 浴光催芽や培土作業については、実際にやってみてその重要性を体得することができたのである。しかし、採種体系についてはこれからの問題なのだ。

 無ビールス種イモに対する認識が深まったと言っても現地ではまだ認識においての格差があり、種イモの取り扱いも丁寧とは言いがたい。

 種イモの持つ意味、無ビールスイモについても啓蒙運動が必要だ。もう一つの問題点は輪作体系をしっかりと組むことである。

 大紅湍では畑地の制限もあって2年輪作といっていたが、少なくとも4年輪作にしないといろんな障害が出て疫病だけでなく、黒アザ病、黒脚病、炭疸病などの原因になる。

 2年連作は絶対に避けなければならないと強調した。

 最後に大紅湍の実情に合うジャガイモ品種を育成し、機械化も推し進めることを強調し、培土機も大紅湍に合う物を自分たちの力で作れば良い。また多収穫品種の大紅湍11号を他の品種と交雑すれば多収穫、高澱粉の優良品種を作ることができることなどを伝えた。

 2年目の試験栽培の結果については、次に見ることにしよう。(洪彰澤、元朝鮮大学校教授)

[朝鮮新報 2005.9.24]