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歴史を次の世代に

 取材先で必ず聞かれることがある。「家はどこ?」という質問。同胞以外の人に聞かれたことはほとんどないので、そう聞かれるたびに(これも民族性なのかな…)なんてことを思ったりもする。

 山口だと答えると半数の人が「下関?」と聞いてくる。山口に下関しかないわけでもないのに、他の地名が出たのは2、3回ほどだ。

 日本の歴史でもある程度有名な場所ではあるが、同胞で知らない人はまずいないだろう。在日の歴史を語るには欠かせない場所だ。

 その地で育ったおかげで他の地方を訪れるたびに気づかされることがある。それは、日本で在日の歴史がないところなどないということだ。

 今では、訪れる各地での歴史を伝えるための活動に目がいく。在日の歴史を語り継ぐための活動が提起されて久しい。

 最近では、証言収集などの名目で1世の話を直接聞きに行くことが目立つようになった。地方によっては、学校に招いたり、朝高生の夏休みの実習でハラボジ、ハルモニを訪ねて行ったりもする。

 1世のハラボジ、ハルモニたちは被植民地支配の当事者として生徒たちに貴重な実体験を聞かせてくれる。ハラボジ、ハルモニたちから直接聞くことによって感じること、伝わることは計りしれない。

 記録技術がこれほど発達した現在でも、文字や映像だけでは伝わらないものがある。それだけ人の声や表情には力があるのだと、ハラボジ、ハルモニたちを見ると感じる。そして、その力を持った言葉をさらに次の世代に語り継ぐことは、直接話を聞いた者にしかできない。

 やはり在日同胞の歴史を語り継ぐことは、これからの在日世代だけができる。

 1世たちから学ぶべきことは多いが、今しか学べないことがあまりにもたくさんある(麗)

[朝鮮新報 2005.10.4]