top_rogo.gif (16396 bytes)

〈朝鮮の食料問題解決とジャガイモ栽培J〉 努力と営農適期の解決

2毛作

 総連ジャガイモ栽培技術代表団は大紅湍郡での2年間の試験栽培で60トン水準の収量をあげることができたので、03年には平野地帯でのジャガイモ2毛作の試験栽培に取り組むことになった。

 まず朝鮮での2毛作の実情から話を進めよう。

大紅湍での生育調査のもよう(01年7月)

 ジャガイモ2毛作は単作の営農法とは種子管理や浴光催芽などで共通点もあるが、いろんな面で異なる。

 まず適正品種が異なるのは当然として栽培時期や収穫時期、前作あるいは後作作物との組み合わせや営農作業に費やす労力の問題などいろいろある。

 2毛作では単作に比べて労力と営農資材を多く費やすので、それだけ収穫をあげることが要求される。朝鮮では前作でも後作でも単作水準の収量をあげることに努めている。

 したがって2毛作農業の成功いかんは労力の問題をいかに解決するのか、また営農作業の適期をいかに守るのかにかかっているといえよう。

 労力の問題は土地の起耕から始まって、植えつけ、培土、農薬散布などの機械化を進めることであり、営農作業の適期はジャガイモの生育期間の短い多収穫品種を確保し、浴光催芽の時期と期間、そして生育状態に合わせた仮培土、半培土、本培土の作業や収穫期の決定などを適正な時期に行うということである。

 いうなればジャガイモの2毛作では、単作の場合と同じように考えてはダメなのである。

 しかし、2毛作農業の実状を把握するため農場関係者や農業省の幹部、農業大学の2毛作研究所の研究者たちと意見交換を行ったが、主に提起されたのは生育期間の短い多収穫品種が必要だということで、2毛作農業での営農法についてはあまり意見がでなかった。

 代表団はこれに対して優良品種もさることながら、科学的な営農法を駆使して収量をあげるという基本問題の解決が重要であることを強調し、技術指導を行った。

 代表団は信川郡の実状を踏まえながら定植までの段階で改善すべきものは改善していくことに決め、まず種イモの消毒や浴光催芽を徹底することから指導を始めた。

 信川郡ではそれまで種イモを冷床苗場で浴光処理を行う慣わしだったので、試験の一部を冷床苗区と浴光催芽区に分けてその実効をみることにした。

 また生育期間の短縮という現地の人たちの強い要望もあったので、定植期を3月20日から5日間隔で試験区を設け定植を行いその後の生育をみることにした。

 それにしても朝鮮の場合、平野地帯の農耕地には制約があるので、土地の利用率を高め生産量を増加させるためにも2毛作の推進は食糧問題解決の重要な方途だといえる。

 朝鮮では2毛作農業の作付面積を拡大し近い将来、現在の8万ヘクタールから12万ヘクタールにする計画であるという。

 拡大される2毛作農業でまず営農法を改善することから始め、精密農業としての科学的な営農法をとり入れることによって増収をはかることにした。

 次回は、信川郡でのジャガイモ試験栽培の活動と経験を具体的にみることにしよう。(洪彰澤、元朝鮮大学校教授)

[朝鮮新報 2005.10.17]