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温かい日本人に支えられ

 四国朝鮮初中級学校が創立60周年を迎え、その記念行事を取材した際のこと。一冊の本とその著者に出会った。

 「会いませんか? 話しませんか? 〜四国朝鮮学校と日本の子どもたち」(径書房)

 1993年に発行された本で、著者は以前まで愛媛の「朝鮮学校を支える会」で会長を務めていた中林重祐さん(75)だ。ウリハッキョで教員、生徒やその親らと出会う過程で感じたこと、学んだことをつづった記録だ。

 「一人でも多くの日本の人たちに彼らの思いを伝えたい。会って話すことの大切さを生徒らが教えてくれた」−創立60周年祝賀宴の席で中林さんに話を聞いた時、真っ先に出た言葉だった。

 話を聞いている途中、中林さんがみんなの前で紹介された。わき起こる拍手。四国の同胞のほとんどが彼のことを知っている。図書室に本が少ないと聞いて「本を贈る会」を発足させたのも中林さんだった。

 現在、同校は日本の小学校と年間5、6回交流を深めている。そのきっかけを作ったと言っても大げさではないのかもしれない。

 一方、地元新聞社やテレビ局が行事の取材に訪れていた。

 「ああ、あの人たちはもう顔なじみですよ。もう来たら勝手に取材してくれればいいって感じで」(四国初中関係者)

 同校は過去、何度も地元新聞に取り上げられた。好意的な記事に日本人らの反響も大きかったと聞く。テレビ愛媛が制作したFNSドキュメンタリー大賞ノミネート作品となった「ウリハッキョ…民族のともしび」もその一つだ。

 日本人らにしっかり支えられ、共に歩む姿がしっかりと記念行事に映し出されていた。

 金英雄校長が笑いながら語った。「生徒数は少ないけど、運動会には多くの人が訪れる。今はその40%が日本人なんですよ」(c)

[朝鮮新報 2005.11.1]