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〈朝鮮の食料問題解決とジャガイモ栽培O〉 大紅湍式農法の成果

高収量

 この5月に訪朝する機会があったので、最近のジャガイモ農業について関係者にいろいろ聞くことができた。

 まず対外経済協力委員会の課長に聞いてみた。その概要は次の通りである。

 昨年はとくに高山地帯で降水量が多く疫病がまん延したこともあったが、全国的にみてジャガイモ主作(単作)で1ヘクタール当たり平均40トン、2毛作の前作で20トンだったという。

 しかし、高山地帯の大紅湍では平均38トンの収量を上げ、なかでも耐病性の強い「ラーヤ」品種は64トンの成果を収めたという。

大紅湍農場関係者とのミーティング(01年7月)

 とくにノンサドン農場では試験圃で82.9トン、一般圃でも54トンを収穫したという。大紅湍郡では疫病対策を適正にたてていれば、もっと収量を上げていただろうということで今年は早い時期からその対策に取り組んだという。

 黄海南道信川郡の白石農場では2毛作の前作として植えた品種が2年前の試験栽培に続いて高収量を上げており、みな30トン台をキープしているという。

 課長の話によると2毛作の経験が豊富になり、今年は40トンを超える品種がでるだろうということだった。

 今度の訪朝を機会にまた農業科学院のジャガイモ研究所所長の話を聞くことができた。説明によると全国の農場でジャガイモに対する関心が高まり、従来は前作として植えていたムギ類をジャガイモに切り替え栽培面積も増えているということだった。同所長の説明によるとまた優良品種の種子イモ生産が大きく伸びたということだった。

 前回まで朝鮮におけるジャガイモ農業の展望が明るいといういくつかの例を見てきたが、先の先駆者大会で多く報告された経験の中で際立っていたものの一つが、大紅湍式ジャガイモ農法が創造され、その一般化される過程で多くの成果をあげたという討論であった。

 われわれ代表団は、この大紅湍式の科学農法が創造されるまでは微力ながら総連農業技術代表団も一定の役割を果たしたと思っている。

 前にも述べたように代表団は01年から3年間、大紅湍と信川でジャガイモの試験栽培に取り組んできた。

 代表団はとくに営農方法を科学化し、営農作業を機械化する方向で、ジャガイモ栽培を科学技術的に行うことに多くの力を注いだ。

 最初は朝鮮の在来式栽培方法と噛み合わず、なかなか入り込めなかった。

 試験栽培2年目頃から現地の人たちと寝食を共にする中で胸襟を開いて語るようになり、たび重なる討論と意見のやり取りなどを通して水準が高まっていった。

 総連の代表団が実施した試験栽培で大紅湍での単作で1ヘクタール当たり60トン、信川での2毛作で40トンの水準まで数量を上げることができたということは、ジャガイモ生産で営農作業が確実に精密農業の水準で行われた結果だと思っている。

 だから大紅湍式の科学農法が創造されたのもこのような過程で実現したものと考えている。朝鮮では大紅湍式のジャガイモ農法は近代的な科学農法であると規定しながら、その要求を最新科学技術に基づく種子育成と営農方法の近代化、化学化に求めている。

 種子育成では輸入品種を母体にした多収穫品種の育成、対病性、耐寒性などの優良品種の育成、採取体系による無病無ビールス種子イモの育成などが緊要な要求として取り上げられている。

 営農法については、温度や湿度の自動調節が可能な種子イモの貯蔵庫や浴光催芽場などの建設を進め営農技術と営農方法を科学化すること、そして起耕から始まって中耕、作土や整地、播種や収穫もすべて機械化し、成形型培土機による仮培土、半培土、本培土などすべての農作業を機械化し効率を高めることが要求されている。

 最後に試験栽培のその後を見ることにしよう。(洪彰澤、元朝鮮大学校教授)

[朝鮮新報 2005.11.6]