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朝青西宮「24時間マラソン」 母校創立60周年を輝かせよう!〜6人が兵庫で喚起したこと〜

 兵庫県111Km(姫路〜尼崎間)を走破する「24時間マラソン」が3、4の両日にかけて行われた。学校のため、地域のために完走した走者は尼崎初中教育会の趙利寛副会長(37)、朝青西宮支部の鄭王雄委員長(26)、洪文瑛総務部長(26)、金炳秀文化宣伝部長(26)、金龍寿鳴尾班班長(26)、康充輝西班班長(21)ら6人。「24時間マラソン」は来年迎える母校・尼崎初中の創立60周年記念行事を輝かせ、スクールバス寄贈のための基金事業を年末まで力強く推進していくための一里塚となった。

母校のためにできること

111Km完走直後のランナーと西宮支部朝青員ら

 鄭王雄さんは半年前、サッカー指導員の資格の試験を受けるため夜間、ランニングに励んでいた。給水ポイントは趙さん宅。折をみて趙さんもランニングを始めた。支部朝青員らも知らぬ間に集まり、朝青の集いでは次のようなやりとりがあったという。「来年60周年を迎えるわが母校のためになにかできることはないだろうか」「60周年にちなんで60Km走ろう」「もっとだ。100Km、いや、101Km走ろう」。測ってみると総距離は111Kmあった。

 企画を聞いた鄭さんの知人は、活動日誌などを公開してはどうかと勧めた。当日2週間前にウェブログ(日々更新される日記的な文書)を開設。このブログ、3日までのアクセス数(人気ブログランキング)は総合61万1078中2429位、スポーツ部門で3738中62位、当日3日前には陸上部門で1位と大人気。認知度、関心の高さが伺える。また、ブログはマラソンの最中、訪れる先々で走者らが携帯電話で写真を添付し更新、現場の姿が随時わかるように配慮した。

担任として伝えたかったもの

尼崎東初級で教え子、学父母と記念撮影をする金炳秀さん

 西播初中からの出発直後、左足を引きずり歩く走者がいた。前日までの練習でドクターストップがかかっていた金炳秀さんだ。111Kmを不眠で歩いた。尼崎東初級で担任を受けもつ6年生との「必ず完走する」という「約束」があった。教え子との「約束」を簡単に投げ出すことはできない。卒業まで残り少ない生徒らに「あらゆる難関に勇気を持って挑み、最後までやり通すという根性」を伝えたかった。

 出発式から「歩き」だして20時間後、神戸初中(71Km地点)には阪神初級(当時)からの同窓生、姜修章教員(26)が待っていた。歩く姿を見て「途中まで一緒にいこうと決めた」(姜さん)。姜さんは尼崎東初級までの30Kmを同伴して歩いた。

 尼崎東初級(104Km地点)で金さんの帰りを待っていた生徒の1人は、「先生は出発の日(3日)、日本語の授業を終えて餅つきにも参加していた」と心配する。

 4日18時15分、金さんら一行が尼崎東初級に到着。クラッカーを鳴らし、喜ぶ生徒ら。「約束どおり帰ってきたで」(金さん)。生徒らは疲労を隠し笑顔を作る金さんを眺めていた。同校で趙さんは「今回、尼崎初中のために走っている。一方で各自が想う内に秘めた『なにか』もあった。金先生は子どもたちのために走った」と目頭を熱くさせていた。

24時間同じ気持ちで

 走者が走る間、西宮支部では「24時間イベント」と題し、多彩なイベントが催された。そこに集まった50人以上の朝青員が支部の大画面で走者とテレビ電話で中継し、見守った。

 「走者と同じ気持ちで」24時間、絵を描き続けたという朝青西宮の鄭重成さん(22)。植民地時代を生きた在日1世から4世までが異なる外的環境の中で後世に伝えていく共通した「民族心」でつなぎ4本の手で表現した絵は、「6人の走者が伝えようとしている情熱を込めて描いた」作品。

 このほかにも西宮朝青員の今企画にかける気迫は随所に現れていた。2日後の総括の集いでは、「今度は自分が主人公に」と発奮する朝青員、「ハッキョ、地域同胞のためのものである」朝青支部の根本について再確認する朝青員の姿も見受けられた。111Kmマラソンは朝青西宮の活性化につながる意義あるイベントだと確認しあっていた。

 来年の創立60周年記念行事に向け、好スタートを切った尼崎初中。「準備」はまだ始まったばかりだ。(李東浩記者)

24時間マラソンの路程は次の通り スタート 3日(土)

西播初中→加印支部(20Km地点)→明石初級(40Km地点)→神戸朝高(53Km地点)→

須磨垂水支部(59Km地点)→4日(日)西神戸初級(62Km地点)→総連兵庫県本部(69Km地点)

→神戸初中(71Km地点)→焼肉店「あづま」(81Km地点)→西宮支部(87Km地点)→伊丹初級(95Km地点)

→尼崎東初級(104Km)→尼崎初中(107Km地点)→芦の湯会館(111Km地点)ゴール到着

[朝鮮新報 2005.12.10]