top_rogo.gif (16396 bytes)

新潟地裁に提出した準備書面

 第1 本件不動産の利用状況について

 1、 朝鮮会館について

 (1)朝鮮会館の1階部分は、利用受付等を行う事務室、ホール、朝鮮総連新潟下越支部事務室、朝鮮青年同盟新潟県本部事務室である。支部事務室は県下の同胞及び日本人の朝鮮民主主義人民共和国への訪問手続きの窓口、相続等在日朝鮮人諸般の法的実務、相続証明書、海外渡航申請書、奨学金申請書等の発給、「同胞生活綜合センター」等生活相談、福祉、人権擁護の事務室として利用されている。

 ホールは応接室、会館への来客を応接する場所として利用されているほか、多数の書籍とビデオソフト、視聴用機器、パソコン等が備え付けられ、地域同胞の学習、会議などに利用している。またホールは日本の方のために毎週定期的(毎週火曜、木曜の午後と金曜の夜)に「ハングル講座」教室として利用され、毎回約15名程度の日本人参加者がある。

 青年同盟事務室は、朝鮮人強制連行調査推進、文化、スポーツ、情報誌の発行等の幅広い青年活動の場として利用されている。

 (2)朝鮮会館2階部分は、祖国訪問新潟出張所が、事務所として祖国(共和国)を訪問する同胞、学生、日本の方々の出入国に関わる膨大な実務処理を行っている。すなわち、@祖国を訪問する同胞、学生たちの再入国許可書、外国人登録証、出入国カードの記入の有無等の確認を行い、官庁(入管、税関)に提出する旅客者名簿(パッセンジャーリスト)の作成を行い、また、訪朝する日本の方々のパスポートを確認し、それをもとに旅客者名簿の作成業務を行っている。さらに、A朝鮮総連中央本部が本国より委任を受けて発行する朝鮮民主主義人民共和国旅券を手渡している。

 その他、新潟出張所では、B後に述べる倉庫に集結、保管された同胞たちの荷物の確認作業を行い、乗船者別に選別、税関が指定した倉庫に代理店を通して荷物を搬入し、検査を受ける準備作業を行っている。同時に訪問者が作成した輸出携帯品申告書を整理し、これを税関に提出、税関検査のスムーズな進行を保証する等、船への積み込みまですべての作業を、代理店と連携しながら行っている。

 同時に訪問者が作成した輸出携帯品申告書を整理し、これを税関に提出、税関検査のスムーズな進行を保証する等、船への積み込みまですべての作業を、代理店と連携しながら行っている。

 また、C広範な日本の方々と、全国の在日同胞から送られてくる共和国への支援物資、災害支援物資等を受け付け、税関手続きを経て当該被災地に送る業務を行っている。さらにD新潟出張所においては祖国と新潟市との友好親善を促すために行われる船長招待宴をはじめとした記念行事参加のため乗船される新潟県人士たちと在日同胞の乗下船手続きの事務処理をも行っている。

 新潟出張所は、E祖国を訪問される方や、見送りのために国際旅客ターミナルへ行かれる方々に港湾事務所の委託により本人確認の上、港湾事務所発行の通行許可書を手渡している。また、F新潟のテレビ局をはじめとする日本の報道機関からの取材の要請及び問い合わせにも応対している。

 (3)同建物3階部分は、朝鮮総連本部事務室、女性同盟、結婚相談所事務室として利用されている。

 朝鮮総連本部事務室においては、全館の管理事務を行い、事務室には事務機器、机等を配置している他、多数の図書とその閲覧用スペースを取り、一般同胞に広く開放され、女性同盟、結婚相談所などの同胞団体が、女性のための教育、結婚、子育て、老人福祉、情報誌、文化サークル(民族楽器サークル、合唱サークル等)の場として利用している。

 (4)4階部分は大人数での集会催し、図書観覧、会議室として多目的に利用している。4階部分のうち事務室部分は、同胞団体である金剛保険鰍ェ事務室として使用している。

 朝鮮会館のうち4階部分は@朝鮮の言葉、民族習慣、歴史、伝統等の学習会、講演会、青少年と女性を対象とした民族楽器や朝鮮の歌、踊りのサークル活動、高齢者の憩いの場所、顧問たちによる学習会、毎月1回の高齢者問題会議等A友好団体をはじめ市民団体との交流会、ハングル講座の開催B生活相談(随時)C各図書の観覧(随時)等に利用しており、平成16(2004)年には100件余りの生活相談を取り扱った実績もある。なお、これらの同胞による利用は無料であり、随時利用申し込みを受け付けている。

 2、祖国往来記念館について

 (1)祖国往来記念館の1階部分では、新潟出張所や総連新潟県本部職員らにより、祖国を訪問する同胞、学生たちの再入国許可書、外国人登録証の確認、官庁(入管、税関)に提出する旅客者名簿(パッセンジャーリスト)の作成に必要な氏名、生年月日、性別、国籍、旅券番号、住所等の記載事項や、出入国カードの記入を確認し、記入に不備がある場合の記入指導が行われている。また、訪朝する日本の方々のパスポート確認作業や、旅客者名簿の作成準備が行われている。その他、祖国を訪問する同胞、学生たちの荷物の個数の確認及び税関手続きのための受付事務なども行われている。

 (2)2階部分では、祖国を訪問する方々の班の構成と添乗員の紹介が行われる。また、同胞、学生、日本の方々に祖国訪問(訪朝)の際の注意事項や、国際旅客ターミナルから出国する際の入管手続き、税関検査等についての事前説明場所として利用されている。とくに、祖国訪問新潟出張所と新潟県港湾空港局、港湾事務所、警察警備課との合同打ち合わせでの協議事項に基づいて、祖国訪問者が新潟港湾内で守らなければならない事項についての説明が、祖国往来記念館2階部分を利用して行われる。

 さらに、祖国を訪問する際、往路に船を利用し、復路には飛行機を利用する同胞たちに、朝鮮総連中央本部が本国より委任を受けて発行する朝鮮民主主義人民共和国旅券の交付が、この場で行われる。また、船の部屋割りや、乗船券の発行もこの場で行われる。さらに、訪問者や見送り人の待機場所としても、祖国往来記念館2階部分が利用されている。

 *(3)(4)は省略

 3、倉庫等について

 (1)倉庫部分は、祖国を訪問する同胞、学生たちの手荷物や、祖国に往来する親族、親戚に送るため全国各地より送られてくる荷物の集結、保管場所として利用されている。一航海あたり、概ね1000〜1500箱の荷物が扱われるので、これらの受け入れ、保管、確認作業には、倉庫部分は不可欠である。

 また、日本のNGOをはじめとする日本の方々が、共和国へ送る学用品、非常食、衣類、毛布等の支援物資及び在日同胞が送る支援物資の集結、保管場所としても利用している。のみならず、このたびの新潟中越地震により被害を受けた同胞たちと、日本の方々を支援する物資の集結、保管場所としても利用されてきた。

 (2)駐車場(空地)は、祖国を訪問する同胞たちや、見送りの同胞たちに、無償で提供されている。また、倉庫の荷物を運搬する際に通路としても使用されている。

 4、以上のとおり、本件不動産はいずれも地域同胞のための公民館類似の公益的施設として、また、祖国訪問に関する各種事務手続等や待機のための施設として、専ら公益のために使用されているものである。なお、被告も本件建物の一部については減免を認め、公益性を部分的に承認している。しかし祖国往来者が相当多数に上り、その待機場所や各種手続や遵守事項(新潟港湾内で遵守すべき事項を含む)の周知徹底のためには相当広い施設が必要不可欠であることや、その手荷物等の検査は事務室の身では到底行えないこと、等に鑑みるならば、事務室内におけるパスポート発給の公益性を承認するならば当然これに付随する事前説明、手荷物受け入れ検査業務、旅客の待機のために使用される祖国往来記念館についても、全面的にその公益性を承認しなければならないはずである。

 *(「第2 被告の主張について」は省略)

[朝鮮新報 2005.7.15]