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八尾市 東大阪初、中級部に補助金を支給 「権利獲得に大きな意義」

八尾柏原支部、大阪朝鮮学園、学校長らの交渉実る 「保護者会」も設置

 大阪府八尾市は今年度、同地域から東大阪朝鮮中級学校と東大阪朝鮮初級学校に通う生徒ら(初、中合わせ20人)に補助金を支給することを決めた。金額は年一人当たり1万5000円。これは同市が独自に新設した「就学奨励補助金」という制度を適用したもの。総連八尾柏原支部委員長、大阪朝鮮学園の教育会会長や理事長、東大阪朝鮮初、中級学校校長らの3年前からの交渉により実現した。また、これを機に同支部では7月15日、「八尾柏原地域民族教育の発展を考える保護者の会」(以下保護者会)を設置。保護者らで地域での具体的な取り組みなどを意見交換できる場を設ける。

議員発言、運動に拍車

八尾柏原地域学父母の集会で報告を聞く参加者ら

 同市は1994年から毎年50万円の助成金を交付してきたが、正規の制度が存在しないため、八尾市教育委員会が「就学奨励金」に制度替えしたいと、昨年10月に申し入れてきた。

 これに対し大阪朝鮮学園側は、即時に反対を表明した。その理由は、「就学奨励金」が低所得の人、母子家庭、生活保護をもらっている人たちなどを対象にした制度だったからだ。

 また、昨年の八尾市議会9月定例会での、ある市議会議員の発言が今回の助成金獲得運動に拍車をかけた。その議員は朝鮮学校に対する侮辱発言、朝鮮学校に対する助成金の中止を求める発言などを行った。

 東大阪初級の金大守教育会会長が市教委に発言の事実を確認。この事を耳にした地域同胞らの怒りは頂点に達した。

当局に学校訪問要請

教職員、保護者らの尽力により支えられているウリハッキョ(写真は、今年4月の東大阪初級の始業式)

 以後、昨年11月から八尾柏原支部、朝鮮学園、学校の代表らが市教委と何度も協議を重ね、12月2日には、柏本景司・憲法を生かす会八尾代表、松平要・東大阪市議会議員、戸田久和・門真市議会議員、長崎由美子・チョソンハッキョを楽しく支える生野の会会長などを招いて「民族教育への正しい理解を求める八尾柏原同胞と保護者たちの緊急集会」を開いた。

 集会では、先の市議会議員の朝鮮学校と民族教育に対する侮辱発言を許すべきでないとし、市議会議員、市教育委、近隣の小、中学校の教員らを招いて学校訪問をしてもらうことを盛り込んだ「集会アピール」も採択した。

 その流れの中で、12月9日に市教委が東大阪初級を訪れ、「奨学奨励補助金」を新たに設置する話を持ちかけた。提示された支給額(初級9000円、中級1万3000円)が少ないため数度協議した結果、2年間は年一人当たり1万5000円と決まった。以降は金額の設定を毎年話しあうことになっている。

 今年3月の八尾市議会で「補助金制度」案が通り、5月初旬に市から八尾柏原支部、下旬に東大阪初級に提示された。

 7月8日には市教育委員会をはじめ教育機関関係者らの学校訪問が実現。昨年12月の緊急集会が成果となって実った形だ。一行は、東大阪初級学校を訪問し授業とクラブ活動を参観。同校校長、初、中級教育会会長、八尾柏原支部委員長ら6人とも懇談した。

さまざまな意見交換を

 今回の動きの背景には、たび重なる要請活動と地域同胞らの権利獲得への並々ならぬ思いがあった。

 金大守会長は、「朝鮮学校が学校として認められたうえでの制度が必要。金額も当然、重要だが権利獲得という意味では今回の措置は大きな意義がある」と語る。

 同支部では7月15日に「保護者会」を設置した。

 目的は、@ウリハッキョの生徒たちがより良い環境の下で育つための地域での具体的な取り組みなどを意見交換するA子どもたちをウリハッキョに通わす保護者たちの精神的負担や、不安などへの対応を協議する−の2つ。会は総連支部の鄭豊和委員長と東大阪初級教育会に属する地域理事が召集、運営し、3カ月に1回集まり、意見交換の場を設ける。

 会に集まった保護者らの反応は上々。今後、地域から生徒数を増やす問題やその対応策なども討議していく。

 鄭豊和委員長は、「学校と保護者らの意見交換や意思疎通がうまくいくように、また、理事会の決定の前にオモニたちの意見を汲み取れる場にもなる。ウリハッキョへの補助金増額やさまざまな問題について、真剣に討議できる場にしていきたい」と語った。(金明c記者)

[朝鮮新報 2005.7.30]