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〈投稿〉 大阪市立大推薦入試の問題で 「先進的大学」としての良識を

 さる11月17日、大阪市立大学は「医学部看護学科推薦入試についての学長見解」を発表した。朝鮮高級学校卒業生についての見解を要約すると、以下のとおりとなっている。

 「(中略)…推薦入試は出願資格を限定して募集する制度…(略)」であるから「(略)…学校教育法第1条に定める高等学校に在籍しているものに限定しています。(略)…そのため…同法第83条に定める各種学校の在籍者には出願資格がありません。朝鮮高級学校は、この各種学校に該当します」。

 学長見解は、かつて朝鮮高級学校などを差別、排除してきたことを正当化するもので、きわめて事務的かつ誠意のない内容となっている。

 周知のとおり、大阪市立大学は全国の国公立大学に先駆けて早くから一般入試については「各種学校」である朝鮮高級学校の卒業生を受け入れてきた「先進的」大学として広く認められ、その良識に高い信頼を寄せられてきた大学である。

 このたびの推薦入試に対する同大学の対応は、これらの信頼を大きく裏切るものであり、「来年度(2007年度)から認める方向で考えている」といわれても、実際に差別を受ける受験生がいる以上、この言質に納得できるものではない。

 その理由の一つは、長年にわたって朝鮮学校などを差別し続けてきた文部科学省が、2003年9月に国公立大学の受験資格について一般入試と推薦入試の区別なく各大学の個別審査に委ねると、通知しているからである。もちろんこの通知は、朝鮮高級学校を認めるものではなく、あくまで学生個人の問題とするもので根本的解決にはほど遠く、きわめて巧妙に差別を温存、持続させるものである。そういう問題点を内包しているが、旧文部省の通知などに抗し、いち早く門戸を広げてきた同大学が、なにゆえ推薦入試に限って差別的対応をとり続けているのか、理解に苦しむ。

 理由の二つ目は、国際人権諸規約や「子どもの権利条約」「人種差別撤廃条約」などの委員会勧告、さらに日弁連の勧告を持ちだすまでもなく、大学自らが採択した「大阪市立大学人権宣言2001」において「大阪市立大学は(中略)…差別の撤廃と人権の擁護に関する教育と研究とを領導してきた」と高らかに謳った基本理念に反するからだ。

 学長はじめ、全教職員がいま一度、「大阪市立大学人権宣言2001」の基本理念に立ち戻り、「先進的」大学としての良識をみせてくれることを望みたい。(蔡正洙、在日本朝鮮人大阪人権協会会長)

[朝鮮新報 2005.12.2]