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各地で民族教育権よう護の動き 行政、市民も参加

 朝鮮学校に通う児童と保護者に対する差別的な処遇など、民族教育を取り巻く環境が依然として厳しい中、学父母をはじめとする朝鮮学校関係者、そして日本の市民たちも参加する形で、権利よう護のための動きが各地で活発になっている。

都下21区4市、二重国籍でも補助金支給

 東京都下の市区が「外国人学校児童、生徒保護者補助金」との名目(市区によって異なる)で、朝鮮学校生徒たちの保護者に対して補助金を支給しているなか、一部の市区で、日本国籍を含む二重国籍の生徒(両親のいずれかが日本国籍。子は国籍の選択をするまで二重国籍)の保護者を対象から除外していることがわかった。都内の朝鮮学校関係者の問い合わせを受けた在日本朝鮮人東京人権協会の調べで明らかになった。

 支給対象としている市区は、都23区のうち21の区と二重国籍生徒在住の5市のうち4市。

 葛飾区、足立区、多摩市では対象外となっている。3市区の補助金に関する要綱などに記載されている「子どもが外国人であること(外国人登録をしている)」との対象規定が弊害になっている。

 担当者の説明によると、補助金制度は「外国人であり外国人学校に通っている」児童、生徒の保護者を対象としており、日本の法律上、二重国籍生徒は外国人ではなく日本人として扱うので(注参照)、その児童、生徒は本来、日本の学校への就学義務を負っている。つまり、日本国籍を持っている限り、学校教育法1条に定められた小、中学校に通わなければならないが、それに「違反」して外国人学校に通っているので支給できないということだ。

 一方、支給している市区は、「両親のどちらかが外国人であれば、生徒の国籍に関係なく補助金を支給する」と、あくまで保護者を基準にした判断をしている。

 荒川区の場合、二重国籍生徒にも補助金を支給してきたが、以前はその条件として「学校教育法に基づく小、中学校に就学させる義務を免除されている者」と規定し、就学義務免除申請をしなければならなかったが、保護者と学校関係者の要望により、現在は他の区と同様の取り扱いに是正された。

 不支給の3市区の保護者や学校関係者は、このような取り扱いの違いを認識し、さまざまな働きかけを行っている。葛飾区では来年度から支給される見通しであり、足立区とも交渉が行われている。

 現在、日本政府は朝鮮学校および保護者への補助を一切行っておらず、地方自治体が独自に実施している。しかし、補助額や計算方法、補助対象などはそれぞれの自治体の規定による。

 東京人権協会関係者は「日本全国的にみて除外されているケースは少数だと思われるが、各学校などでは見直す必要がある」と語る。

 【注】国籍法では、子の出生時に父又は母が日本国民の場合その子は日本国民である(国籍法第2条1項)と規定している。また、外国人登録法上の外国人とは、日本国籍を有しない者(外登法2条1項)となっているので、例え外国籍を併せ持っていても、日本国籍を持っている以上、外国人ではなく、外国人登録もできない。

神奈川 朝鮮学園を支える会結成準備会

準備会ではさまざまな意見交換がなされた(20日)

 「神奈川県 朝鮮学園を支える会」結成のための準備会が20日、かながわ労働プラザ(神奈川県横浜市)で行われた。大学教授、県・市議会議員、県・市教職員組合の役員、教諭、市民ら40余人と神奈川朝鮮学園関係者10余人が出席し、さまざまな意見交換がなされた。

 準備会では、神奈川県高等学校教職員組合の竹田邦明執行委員長が来年の結成総会までに、「支える会」への賛同を得るための呼びかけを行っていこうと訴えたのに続き、具体的活動に向けた運営問題などが協議された。また、神奈川大学の阿部浩己教授が同会の代表に選出された。

 竹田委員長は、同会の発足を契機に「民族教育の保障をアピールしていくことが、県・市民の啓発につながる」と述べ、阿部代表は「この運動を良識ある市民に広げていくことが何よりも大事だ」と指摘した。

 準備会後の懇親会では、朝鮮学校と日本の学校教育に関する議論がなされ親ぼくを深めた。

在日本朝鮮人民族教育大阪府対策委など 大阪市に要望書提出

市側に要望書を手渡す夫永旭委員長

 夫永旭・在日本朝鮮人民族教育大阪府対策委員会委員長、蔡成泰・学校法人大阪朝鮮学園理事長、柳暎恵・大阪府オモニ連絡会会長をはじめとする関係者らが15日、大阪市庁を訪ね關淳一市長へあてた要望書を提出した。

 要望書は、朝鮮中級学校や高級学校がスポーツ分野で活躍しているのみならず、卒業生は経済、文化、医療、福祉など地域社会のさまざまな分野で活躍していると指摘。にもかかわらず、国庫補助はなく、府、市からの補助も十分でないため、保護者の負担は限界に達していると指摘した。

 そのうえで、@朝鮮学園への補助を大幅に増額すること、A朝鮮学園の保護者に負担軽減補助金を適用すること、B公立小中学校において実施している就学援助金を朝鮮学校に通う児童生徒にも適用すること、C日本政府に朝鮮学校への処遇を改善するよう働きかけること、D大阪市立大学が大阪朝鮮高級学校生徒に対する推薦入学資格を認めること−を求めた。

[朝鮮新報 2005.12.24]