〈月間平壌レポート〉 党創建60年へ向け高まる雰囲気 6者会談共同声明の発表 |
【平壌発=李相英記者】9月中旬、朝鮮半島情勢の今後を占う2つの会談が平壌と北京で行われた。朝米間の核問題を話し合う6者会談(北京)と北南閣僚級会談(平壌)だ。6者会談の合意により朝鮮半島の非核化実現のための本格的な歩みが始まるなか、市民らは情勢の進展を予感させる雰囲気を敏感に感じ取っているようだった。一方で、朝鮮労働党創建60周年を迎えるための準備にも拍車がかかっており、平壌のみならず朝鮮全土が「10月の大祝典場」へ向け一丸となっている。 「約束は実践に」
7月末から北京で行われてきた第4回6者会談は、途中の休会を挟み2段階に分かれて交渉が続けられてきたが、今月19日、ついに妥結を見、6者による共同声明が発表された。 20日には朝鮮国内の各メディアが共同声明と外務省スポークスマン談話を一斉に報道した。会談結果に対する市民の関心は高く、取材先でも質問攻めにあった。 人々は「朝鮮の一貫した立場が反映された」今回の合意を肯定的に評価している。とくに非核化へ向けた米国と南朝鮮の義務事項が明記されたことに注目していた。また、朝鮮側の平和的核活動に関する権利を尊重したこと、軽水炉提供問題が言及されたことを「大きな成果」だと一致して指摘している。 市民らは米国に対し「今度こそ言葉を実践に移すべき」だと厳しく注文をつけながら、合意の履行段階での米国の行動を注視すると話した。 「米国がどう出ようが、われわれは自らの信念に従い行動する」という彼らの言葉に嘘偽りはない。 6者会談の会期中に、平壌でも第16回北南閣僚級会談が行われた。6月以降の北南関係発展の新しい流れのなかで開催されたとあって内外の注目を集めたが、「ウルチフォーカスレンズ」南、米合同軍事演習が直前に実施されていたこともあり、協議は難航した。会談期間中、合意を危ぶむ声も幾度となく聞かれたが、北と南は「体面主義」を克服し民族の和解と団結を実質的に進めていく措置をとることなどを明記した6項目の共同報道文を発表した。 関係者は会談終了後、結果について、「中の上、あるいは上の下」と表現していた。 紆余曲折はあったが、今回の会談で双方が現状維持にとどまらず、さらなる関係発展のための土台を構築する上で提起される根本的な問題について話し合った意義は大きい。 米国人観光客も 国内の動きに目を移してみると、8月16日に開幕した大マスゲーム・芸術公演「アリラン」は、10月17日の閉幕を前にして、ますますの賑わいを見せている。公演は9月に入っても引き続き盛況で、国内の報道によれば、現在まで100万人を超える朝鮮の人々、数千人の海外同胞と外国人らが公演を観覧したという。 朝鮮では今月中旬、「『アリラン』対外招待迎接委員会」が設置され、南と海外同胞、外国人を対象に海外からの観光客を迎え入れる準備を積極的に進めている。 26日からは、南の人々が大勢平壌を訪れ、「アリラン」を観覧している。南の対北支援団体である「わが民族1つになる運動本部」が母体となって組織しているもので、来月15日まで毎日250人規模の参観団が北を訪れる予定。総勢4〜5千人におよぶ、今までで最大級の訪北ツアーになる見込みだ。来月からは3年ぶりに米国人観光客の訪朝も実現する。100人ほどが平壌を訪問し「アリラン」を観覧するという。 「10月の大祝典場」 9月中旬頃から、秋の気配が本格的に感じられるようになった。 国内各地の協同農場では秋の収穫が一斉に始まった。田園では、農民にまじって忙しく働く各地からの支援者の姿も見ることができる。年始の共同社説で農業を経済建設の「主要な戦線」と位置付けるなど、今年朝鮮では農業分野の発展を重要な目標とする方針を打ち出している。そのため職場や地位に関係なく、人々は文字どおり「総動員態勢」で農場に出向き、収穫作業にあたっている。 党創建60周年に向けた準備も着々と進んでいるようだ。市内のいたるところで記念行事の準備が行われている。新聞、テレビなどのメディアも、経済の各部門で達成された成果を大きく取り上げ、10月10日を輝かしい成果をもって迎えるためのさらなる奮起を促す一大キャンペーンを展開している。 60周年記念行事の全貌は明らかにされていないが、「今までにない規模で盛大に行われる」とのこと。 経済部門の成果や北南関係の進展、朝鮮半島の非核化プロセスの始まりなど、党創建記念日を迎える環境は整った感がある。 [朝鮮新報 2005.10.3] |