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収買糧政省のキム・ソンチョル処長に聞く 1日から食糧配給が正常化、総合市場で米販売せず

 【平壌発=金志永記者】10月から朝鮮国内の食糧配給が正常に行われている。糧政事業の正常化は、1990年代以降試練を経てきた経済の復興を意味する。また、2002年以降、経済管理方法を改善するために取ってきた一連の措置が実効性を表していることを示している。食料配給の現況などについて、収買糧政省のキム・ソンチョル処長に聞いた。

地域格差はない

平壌市内の将泉共同農場で農作業を手伝う対外建設指導局の職員ら。全人民が一丸となって農業問題解決に取り組んだ(05年5月)

 「1日から全国的に食糧を正常に配給している。近年、正常な配給ができなかったが、その問題を解決した。15日分、つまり10月上旬の分はすでに配給を終え、現在は下旬の配給が実施されている」

 国家では住民が一日に消費する食糧の基準を定めている。対象別に基準量は異なる。対象別に消費するカロリーに沿って基準を定め、食糧を配っている。

 「食糧配給の正常化とは全量を与えること。わが国では毎月2回、上旬と下旬にそれぞれ住民に食糧を配給するようになっている。毎月1日から15日の間に15日分、16日から月末日の間にまた15日分といった具合だ。食糧配給が正常でなかったということは、その時ごとに15日分を配給できず、たとえば10日分しか与えられなかったことを指す」

 食糧の配給は平壌だけでなく全国的に行われていて地域格差はない、とキム処長は述べた。

「再開」は的外れ

 1日から朝鮮で食糧配給が「再開」されたとの一部外電を念頭におきながら、キム処長は「正常でなかった食糧配給が正常化されただけで、廃止された制度が復活したわけではない」と強調する。

 「02年に米の価格を調整したのを根拠にしているようだが、完全に的外れな指摘だ。われわれは、食糧を国家が責任を持って人民に配給する体系は崩さずに食糧をふさわしい値段で売ることにした」

 元来、朝鮮の糧政制度は住民に米を「ただ」で配る制度ではない。

 従来は、国家が農民から買い上げた価格よりはるかに安い値段で住民たちに米を配給していた。差額は国家が負担していた。

 「3年前に取った措置の基本は、変化した経済管理の条件に合わせて、価格と生活費を調整したことだ。国家がふさわしい値段で食糧を配給することになったが、同時に住民の賃金もそれに見合うように上げた。食糧配給制度はそのまま維持しながら、働いた分、稼いだ分だけ配給を受けられるよう社会主義分配原則を変わりなく適用した」

 無欠勤で職場に通う労働者、事務員は基準量をすべて購入できる。それが社会主義分配原則で、配給が正常化された10月以後、この原則はより徹底的に貫徹されている。職場に通う人を優待する原則で食糧価格が適用された。

国家が穀物統制

 「生産された穀物を国家が一元的に統制するのが、わが国の一貫した糧政政策だ。食糧配給の正常化のためには、もちろん食糧の増産が必要だが、それに沿って実務的な措置を取ることも重要だ」

 キム処長によると、食糧配給正常化のためにまず、「田畑で生産された穀物の粒が失われないよう、すべて買い上げる厳格な規律をより強化した」という。食糧を国家が一元的に買い上げるシステムはすでに構築されていたが、過去に生産量が減少した状況で統制が弱体化した側面もなくはなかった。

 食糧配給が正常化された10月以後、総合市場でも米の販売をしなくなった。

 「市場で米を売っていたのも、国家が食糧配給を正常化できなかったからだ。国の食糧事情が緊張したため、そうした流通方法も取られていたが、これからは国家が食糧をすべて供給できる。だから、市場で売らなくなった」

7.1措置が契機

 「3年前、経済管理方法改善措置を取ったときに食糧配給が正常化できなかったのは、穀物生産を増やせず食糧源が不足していたからだ。生産された穀物に対する国家の統制が弱体化せざるをえなかった理由もここにある。住民の需要を満たすことが優先された。一方で、穀物生産が減少すると協同農場でも翌年に必要な営農資材を準備する資金が足りなくなった。こうした問題点を一つひとつ解決しながら、農業増産のための条件を保障し、食糧配給の正常化も実現した」

 キム処長は、食糧配給正常化のための重要な契機が3年前の経済管理改善措置だったと指摘する。

 「これからは食糧配給も正常化されるので、その時にとった措置の正当性がはっきり現れるだろう」

[朝鮮新報 2005.10.30]