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「制度転覆」企図を強調 「政治目的のための人権乱用」

 【解説】国連総会第3委員会で採択された「北朝鮮人権状況決議」を非難する談話で外務省スポークスマンが強調しているのは主に3点だ。

 そのうち、1点目の朝鮮の「制度転覆を狙ったもの」というのが最も言いたいことだろう。

 第4回6者会談第2ラウンドでは朝鮮半島の非核化を平和的に実現することが目標であることを明記した共同声明が採択された。また、第5回会談第1ラウンドでは金融制裁問題などを朝米双方で話し合っていくことが決まった。つまり、核問題や経済制裁問題などを平和的に解決する道筋が作られた。

 そこで出してきたのが「人権問題」だというわけだ。

 外務省スポークスマンの談話はこの点について、「『先核放棄』を通じた武装解除が実現不可能になるや、『人権』の看板を掲げて『制度転覆』企図実現に拍車をかけている」と主張。11月22日発朝鮮中央通信論評も同様に指摘している。

 また、同決議が「脱北者」の証言などの一方的な資料に基づき作成されたことは見逃せない。「虚偽とねつ造資料に基づいて深刻な『人権侵害国』と決めつけている」(朝鮮中央通信論評)というわけだ。

 韓国民権研究所常任研究委員のリュ・オクチンさんもインターネット新聞統一ニュースへの寄稿文で「人権決議案はいわゆる脱北者の証言と、出所が不透明な各種映像に基づき作成された。問題はこれらが客観性と公正性にとぼしいという点にある」と述べている。

 キム・チャングク国連駐在朝鮮次席大使は同決議の表決前に発言を求め、「米国とEUが政治的目的のために人権問題を乱用している」と強い調子で語った。

 外務省スポークスマンの3点目の主張「米国とEUが唱える人道的協力の本質についてさらにはっきり知るようになった」のも、この点と関連している。

 だからこそ、朝鮮側は人道的終了を宣言したと指摘した。

 実際、報道によると朝鮮側はいくつかの国際NGOに対し、平壌事務所の閉鎖を通知したとされる。10年間にわたって朝鮮への地道な保健医療支援活動を続けるユージン・ベル財団のスティーブン・リントン博士は「一時、EUと北は活発に交流したが、対北人権問題が提起されて、双方の関係が悪化した」として、その不仲ぶりを「北とEUの新婚旅行は終わった」と表現した。(11月29日発連合ニュース)

 人権運動サランバンなどの南の人権団体は「米国政府は『人権』を『口実』に北の体制を直接威嚇する『北朝鮮人権法案』を制定し政治的圧力をかけるかと思えば、国内の『北人権団体』は人権問題を取り上げながら『体制崩壊』を公然と主張している」として、「このような方式は人権的方式とは言えない」と非難した。そのうえで、国連の「人権決議」に反対を表明している。(聖)

[朝鮮新報 2005.12.2]