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記者会見での弁護団談話 原審判断安易に肯定

 本日、東京高等裁判所刑事第4部は、康永官氏に対する業務上横領事件に関して、不当にも控訴を棄却した。

 本件事件は、公訴事実を裏付ける証拠がないにもかかわらず、検察官が朝銀関係者らの捜査段階での虚偽供述を奇貨として、朝鮮総聯及び在日朝鮮人に対する予断と偏見のもとに、不当に逮捕、勾留、起訴したものである。

 原審において、検察官請求証人が次々と捜査段階の供述を訂正し、自らの刑事責任を免れるために捜査段階で虚偽供述をした経緯について詳細に証言し、本件横領行為は朝銀東京が独自に考案・実行したもので、康永官氏と本件横領行為について「共謀」した事実はないこと、本件横領行為に使用された「姜忠一」「安秀哲」名義の口座が朝銀東京の裏金をプールするために朝銀東京内部で考案、開設、管理した口座であり、康永官氏とは全く関係のない口座であることを認めるに至った。

 検察官は本件横領行為に使用された「姜忠一」、「安秀哲」名義の口座の開設及び両口座の管理状況に関して、証拠上、公訴事実を裏付けることができなかった。それにもかかわらず、原判決は、原審において虚偽であることが明らかになった関係者の供述のみに依拠する形で、不当にも有罪判決を下した。

 弁護人は、控訴審において、憲法で保障された適正手続きを遵守し、近代刑事裁判の大原則である証拠裁判主義に立脚し、関係者の捜査段階における供述と公判段階における供述のいずれが信用できるか、再度証拠調べをしたうえで慎重に判断するよう再三にわたって求めた。それにもかかわらず、裁判所は、弁護人の上記主張に応ぜず、関係者の証人尋問を実施しないまま審理を打ち切り、原判決に迎合する紋切り型の判決を下した。

 近代刑事裁判の大原則である証拠裁判主義に立脚する限り、康永官氏の無罪はあまりにも明らかであり、そのことは、原審・控訴審の中できわめて明白なものになっている。

 弁護人は、裁判所が十分な審理を尽くさないまま、虚偽であることが明らかになった関係者の供述に安易に依拠した原審の判断を安易に肯定したことについて、強く遺憾の意を表するものである。

[朝鮮新報 2005.10.11]