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〈みんなの健康Q&A〉 インフルエンザ(上)−症状と種類

 Q:いよいよ寒くなってきました。かぜの季節ですね。

 A:とりわけインフルエンザが心配なのではないですか。

 突如として発生する、咳と高熱の流行性疾患の記録は、遠くヒポクラテスの時代からあったといわれています。1890年にアジアかぜが世界的に大流行した頃から、日本ではインフルエンザのことを流行性感冒(流感)と呼ぶようになりました。

 普通のかぜとインフルエンザを、よく混同している方がおられます。一般にいう「かぜ」は、主としてウィルスという病原微生物がひきおこす鼻やのどの炎症、すなわち上気道炎ですが、そのひとつとしてインフルエンザウィルスが原因となった場合にインフルエンザといいます。

 Q:インフルエンザはかぜの一種というわけですね。では、わざわざ区別するのはなぜですか。

 A:症状の重症度が断然異なるからです。

 普通のかぜの症状は、のどの痛み、くしゃみ、鼻水および咳などが中心で、全身症状は軽度です。一方、インフルエンザの場合は、普通のかぜ症状もみられますが、38度以上の発熱、頭痛、関節、筋肉痛などの全身症状が強いのが特徴です。例えば、熱が高くて頭がボォーッとする、体中だるくて出かけることもできないし食欲もない、といった症状です。また、インフルエンザは原則的に冬季に流行します。

 Q:インフルエンザにもいろいろ種類があるとききましたが。

 A:ウィルス粒子内の核蛋白複合体の抗原性の違いから、A・B・Cの3型に分類されています。このうち流行的な広がりをみせるのはAとB型です。困ったことに、抗原性の異なる2種類のウィルスが、同じ季節の中で複数流行したりすると、2回インフルエンザにかかってしまうことがあります。

 Q:その他、病状で注意しなければならないことはありますか。

 A:高齢者や、呼吸器や心臓などに慢性の病気をもつ人は重症化することが多く、肺炎その他の合併症から死にいたることもあります。近年、ごくまれですが、小児のインフルエンザで急性脳症から死亡したという報告がみられます。

 もともと健常な人でも、治療が不十分だと二次的に細菌感染を生じ、かぜ症状の後にどろどろした喀痰をともなう咳が続き、この気管支炎の治療がしばらく必要になることがあります。

 Q:大変怖い病気であることがよくわかりました。インフルエンザにかからないためにふだん気をつけなければならないことを教えてください。

 A:体力の低下したときにかかりやすいので、何よりもまず十分に休養をとり、栄養をしっかり摂り、体力・免疫力を高めることが大切です。空気が乾燥するとのどの粘膜の防御機能が低下し、ウィルスが付着しやすくなります。帰宅時や寝る前にはうがい、手洗いをすることをすすめます。

 インフルエンザは、かかった人の咳、くしゃみ、唾液などの飛沫とともに放出されたウィルスを鼻や口から吸入してしまうことで感染します。感染者と近くで接触する時はマスクを着用して、後で手洗いもして下さい。

 Q:自分がかかったかなと感じた時は、どうすればよいのですか?

 A:流行季節、症状・診察所見からインフルエンザの診断が下されます。診断確定のため、外来で簡単にできる迅速診断キットが最近よく用いられますが、あまり熱が高くない症例にはとくに役にたちます。

 かかったかなと思ったら、安静・休養をとり、水分をたっぷり補給しましょう。そして、すぐに医療機関を受診してください。抗インフルエンザウィルス薬は早く内服すればするほど効果が良いとのデータが出ています。また、周りの人へうつさないよう、マスクの着用をすすめます。

 Q:解熱剤はあまり使わないように言われたことがあるのですが。

 A:一般のかぜの場合でもそうですが、発熱は生体の病気に対する反応であるので、むやみに熱を下げてしまうとむしろ症状が長引くことが多いのです。インフルエンザも同じで、高熱のためつらくて我慢できないときに限り、解熱剤を使用するよう心がけましょう。ただし、解熱剤にもたくさんの種類があります。

 使用しないほうがよいとされるものがありますので、自己判断せずに、かならず医師とよく相談してください。(金秀樹院長、あさひ病院内科、東京都足立区平野1−2−3、TEL 03・5242・5800)

[朝鮮新報 2005.1.7]