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〈みんなの健康Q&A〉 インフルエンザ(下)−予防接種

 Q:インフルエンザといえばワクチンによる予防接種がよく知られています。

 A:インフルエンザワクチンの接種を行うことで、インフルエンザによる重篤な合併症や死亡を予防し、健康被害を最小限にとどめることが期待されます。日本では、世界保健機構(WHO)が推奨したウィルス株を基本にして、日本の流行状況や流行前の健康な人が持っている免疫の状況などから予測してワクチンが作られています。

 Q:予防接種を毎年受けなければならない理由を教えてください。

 A:まず重要なことは、同じインフルエンザウィルスでも、流行するウィルスの抗原性、つまり性格、性質が毎年変わります。去年はやったウィルス株と今シーズンのものが必ずしも一致するとはかぎりません。

 また、ワクチン接種による免疫性防御能力の持続期間はおよそ5カ月といわれています。

 Q:予防接種を受けるなら、インフルエンザが流行する前に受けるように言われたのですが、なぜですか。

 A:予防接種により体内に抗体、すなわち免疫能力ができるのに2〜3週間かかります。日本でのインフルエンザの流行は12月下旬から3月上旬が中心になるので、早めに接種を済ますことを勧めます。

 Q:ワクチン接種は何回受ければよいのでしょうか。

 A:薬事法上の用法、用量は、13歳未満はおよそ1〜4週間の間隔をおいて2回、13歳以上は1回またはおよそ1〜4週間の間隔をおいて2回接種となっています。65歳以上の高齢者に対しては1回の接種でも効果があり、2回接種による免疫強化に関する効果についての評価は定まっていませんので、現在は1回接種でよいとされています。また、若い人でもほとんどの人は近年インフルエンザにかかったことがあるか、前年度に予防接種を受けているので、1回接種でも追加免疫による十分な効果が得られると考えられています。1歳未満児に対しては予防効果が認められなかったと報告されていますが、接種量を従来よりも増やすことで効果がえられるという意見もあります。

 Q:この予防接種を受けることが適当でない、あるいは受ける時にとくに注意が必要なのはどのような場合ですか。

 A:明らかな発熱を呈している者(通常は37.5度以上)、重篤な急性疾患にかかっている者、接種液の成分によってひどい発疹や低血圧性ショックなどのアレルギー反応を呈したことがある者などが接種不適当に該当します。

 これを判断するために、接種直前に身体状況に関する問診表をわたして、接種希望者に記入してもらいます。すなわち、今現在特別な疾患にかかっていて治療を受けているか、薬や食べ物にアレルギーはないか、接種歴の有無、過去に接種後何か問題が生じなかったか等々、前もって調査するのです。

 妊娠中は、ワクチンによって得られる利益が不明の危険性を上回るという認識が得られた場合には接種してもかまいません。

 Q:卵やゼラチンにアレルギーがある人はこの予防接種が受けられないと聞きましたが。

 A:近年は高度に精製されてワクチン内には卵成分はほとんど残っておらず、ゼラチン成分は含まれていませんので、軽いアレルギーを有するぐらいなら問題にはなりません。

 Q:授乳中にこの予防接種をしても大丈夫ですか。

 A:不活化ワクチンですので、体内で増えることもなければ、母乳を通して子供に影響を与えることもありません。

 なお、インフルエンザワクチン接種後でも、1週間以上間隔をおけば他のワクチンも接種可能となります。

 Q:この予防接種によって逆に体に異常を生ずることがありますか。

 A:それを副反応とよびます。問診や全身状態から大丈夫と判断されても10〜20%で接種部位の発赤、腫れ、痛みなどを起こしますが、2〜3日で消失します。また、1%以下の確率で発熱、だるさを認める人がいますが、たいてい2〜3日でなおります。死亡あるいは生涯にわたり身体障害となる副反応の発生は、これまでの調査では百万回接種あたり1件に満たないのですが、残念ながら0ではありません。しかし、インフルエンザワクチンが他に比べて安全性が低いというわけではありません。

 Q:インフルエンザ罹患後、解熱したらすぐ学校や職場に行ってもいいのですか。

 A:体内には解熱後もしばらくウィルスが残存しています。小中学生などの場合、学校保健法によって出席停止期間は「解熱後2日を経過するまで」と定められています。しかし、2日目でも40%以上の患者で鼻腔にウィルスが残っていたというデータが出されています。それゆえ、出来れば3日後までは復帰を控えたほうがよいでしょう。(金秀樹院長、あさひ病院内科、東京都足立区平野1−2−3、TEL 03・5242・5800)

[朝鮮新報 2005.1.14]