「私の立つ場所はここ」 |
「パッチギ!」に出演 ちすんさん ミュージカル「豆もやしの歌」や話題の映画「パッチギ!」に出演した新鋭女優。本名は金智順。 「『豆もやしの歌』の舞台では、自分でも意外に思うほど泣けて涙がボロボロ出て…」 歌手を夢見て、1世のハルモニに心配をかける孫娘を演じたが、まるで等身大の自分のようだと笑う。 大阪朝高を出て、日本の短大へ。同時に芸能界デビューして、モデルや映画、舞台に立つようになった。 「どっぷりつかってきた在日の同胞社会から一時離れてみたかった。いつも在日、在日と自問するのはどうなのか、という思いもあった。日本社会に身を置いて、もう少し自分を相対化したかった」 しかし、その迷いは「パッチギ!」の井筒和幸監督や日本の共演者との出会いで吹っ切れた。「在日同胞の受難の歴史を熱い思いで考え、共感してくれるたくさんの人たちがいることを知って、感激した。ある意味で私以上に『在日』を理解しようとする姿勢に強く打たれた」。 そう思うと、今まで空気のように自分を取り囲み育んできた風景や人たちが全く違ったものに見えてきた。「私の立つ場所はこの場所という揺るぎない確信。同胞たちの愛に見守られてきたことを痛切に実感できた」。吉本興業が自信を持って発掘した俳優第一号。「彼女の圧倒的な存在感は、本名を前に出して、堂々と生きてきた誇りに裏打ちされている。やりにくさはあると思うが、がんばってほしい。吉本挙げて応援したい」とマネージャーの吉村昌晃さんが微笑んだ。 [朝鮮新報 2005.2.22] |