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コンナムルのうた

 ウチは焼肉屋のオバチャンや
 けど いうとくで
 そんじょそこらへんの焼肉屋とは
 ちょっとちゃうで
 ナニがちゃうてか?
 ウチには夢があるねん
 みゅうじかる したいねん
 アボジ オモニの生き様を
 一世の姿を ちゃんと伝えたいねん
 どんなふうにして ニホンに渡ってきたんか
 どんなことがあったんか
 どんな思いで今日まできたんか
 在日にとって大切なものは一体なんやろか
 それを歌と踊りと芝居で表現したいねん
 ウチもイロイロあった
 ウレシイこと カナシイこといっぱいあった

 一番ツラかったのは
 オモニがなくなったことや
 ココで死んだことや
 ほんま 命綱を斬られたみたいなもんや
 ナンにもでけへん自分がイヤンなった
 ナサけなかった
 クヤシかった
 あぁ
 それでもウチは焼肉屋や
 胸のカタマリをおもいっきり焼いて
 グッと飲みこんだった
 なんともあらへん
 なんともあらへん
 そう言い聞かせても やっぱり
 オナカの底にズシンと残っとったわ
 そや 溶けんうちに
 みゅうじかる したろ
 明るく
 たのしく
 誇らしい舞台にしよう

 今しかない
 みんなに見てほしい
 もう一回
 オモニと逢えるような そんな気がした
 ウチとこの肉 おいしいって
 コノ店には カクシアジがあるって
 お客さんが いうねん
 それ ナニって聞いたら
 愛や 同胞愛やいうねん
 オモニの味を受け継ぐことができたんが
 うれしい 幸せや
 さあ 幕が上がるで
 イカイノの物語
 みゅうじかる「コンナムルのうた」
 始まり始まりや

(李芳世)

[朝鮮新報 2005.2.23]