くらしの周辺−「10年経てば…」 |
初級部からの悪友2人と久々に飲む約束をした際、ご丁寧にも、今付き合っている彼女を私に紹介しておきたいのだという。そして迎えた当日、目の前には悪友たちと、それぞれに寄り添う2人の日本人女性。正直心境は複雑だった。彼らが日本人の彼女と付き合っていたから…というのもあるが、その現実を半ば容認してしまっている自分がいたからである。2人とも、よほどの事がない限り別れるつもりはなく、ゆくゆくは結婚まで考えているという。彼らも学生時代には、相手はやっぱり同胞がいい、と言っていたのだが…これが現実なのだろうか。 彼らの気持ちを代弁するとすれば、年々減ってゆく同胞同士の出会いの中から理想の相手を探すのはかなり困難だが、国籍民族にこだわらなければ、対象は身近なところにいくらでもいる。民族結婚最も良し、と口ではいくらでも言えるが、では今以上の相手が同胞の中から見つかるのか?というところであろうか。仮にこう言われたとしたら、私は何と答えればいいのだろう。 10年経てば山河も変わる。私と、私の友人らを取り巻く環境も変わった。だがそれ以上に変わったのはわれわれ1人1人の心境かも知れない。何だか切なかった。私の学んだ中級部は遠く離れた高級部に合併され、今となっては空しいほど大きな校舎に、学生もまばらな初級部を残すのみである。今年の新入生はわずか3人らしい。彼らが成人の暁に、同胞結婚という概念はまだ残ってくれているのだろうか。もっとも、結婚どころか相手さえいない私には、まだまだ後に悩むべき問題なのだろうが…(劉英治、会社員) [朝鮮新報 2005.3.7] |