作業所づくりは大変だけど |
知的障害者の就職問題を考える 安貞淑さん 「療育手帳 A」。療育手帳とは、知的障害のある人がさまざまな制度を利用する際に必要となる、パスポートのようなもの。Aは、最重度ランクを示す。 広島市内の養護学校高等部2年に通う息子は知的障害をもっている。「卒業まであと1年ちょっと」。長引く不況で、障害者の雇用状況は大変きびしい。安さんは、息子の卒業後を見据えて、障害者の就職先を探している。「作業所は、1度入ると50年、60年…。続ける人は死ぬまで働くため空きがない。息子は、今は学校に通っているけど卒業後の方が長い分、これから先が重要問題。子どもの人生、ずっと親が面倒をみられれば良いけどそういうわけにもいかないし」。 そんな中安さんは、知的障害者が働くための事業所の立ち上げを考えている。立ち上げには5人の障害者が必要だ。行政からの支援はあるものの、指導員の人件費や材料の購入、制作、販売ルートの確保まで、金銭的にも支援金の2、3倍は優にかかる。 市内で3つのリサイクルショップを営み家計を支えている安さん。「家族に障害者がいるのは大変」とこぼしながらも、それは「不幸ではない」と笑顔を見せる。それは「自分の人生の中ですごく貴重な体験をさせてもらってるから」。 息子の卒業まであと1年少し。「学校で学んだ生活と仕事を、ペースは違ってもゆっくりこなしていく。親として、今楽な道を選ぶか、将来を考えるか。今一度考える必要はある」。 [朝鮮新報 2005.3.16] |