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「老いるほどに逞しく」

91歳で書芸展に出品 金聖己さん

 先日広島で開かれた「高麗書芸研究会第13回全国展」。会場には南北、在日の書芸家および愛好家の作品317点が展示された。

 6歳から90歳まで幅広い年齢の人たちがそれぞれの想いを書に託した。デイサービスセンター「さむけあ・ありらん」からは在日1世のハルモニたちが40点の作品を出品。そのうち91歳の金さんは最高齢出品者である。

 慶尚北道義城郡生まれ。学者だった兄から文字を学んだ。日本へ渡った夫の後を追い、25歳でひとり海を渡った。東京、熊本、名古屋、大阪、神戸、大分など、溶接の仕事をしていた夫と共に日本各地の造船場を巡り歩き回った。3男2女の母で、13人の孫と18人のひ孫がいる。

 今は週2回「ありらん」に通っている。そこでは、体操、ボーリング、毬つき、書芸などのレクリエーションを楽しんでいる。趣味は畑仕事。サンチュ、とうがらし、ねぎ、かぼちゃ、じゃがいも、とうもろこし、わけぎ、にんにく、ほうれん草、水菜、きゅうり…と、数え上げたら切りがないほど。収穫した野菜は「ありらん」の仲間たちにも分けている。

 「15年前に夫が先立ち、今は『ありらん』に行くのが1番楽しみ。書芸も楽しい。知らなければ無関心でいることが、わかればどんどんおもしろくなってくる」

 出品作品は「老当益壮」。老いるほどに気力がもっと逞しくなるという意味が込められている。何事にも前向きに取り組む姿勢が健康と若さの秘訣かもしれない。

[朝鮮新報 2005.4.5]