top_rogo.gif (16396 bytes)

〈本の紹介〉 生薬の王様 高麗人参の世界

 朝鮮半島では古くから「不老長寿の薬」と呼び珍重されてきた人蔘。

 本書は、本紙「健康・家庭」欄の人気シリーズ「高麗人蔘余話」(2003年4月4日から2004年12月24日まで63回連載)を再編成してまとめたもの。

 表紙を飾るのはJA会津人蔘農協提供の写真。また巻頭には中国人民大会堂に展示してある国宝の山蔘ほか、朝鮮の人蔘の山間栽培、平壌のホテルに陳列された人蔘加工品、金浦飛行場の免税店に並んだ人蔘加工品、会津地方新鶴の人蔘畑など25枚のカラー写真が掲載されている。

 第1章「神秘の霊薬−高麗人蔘のあらまし」、第2章「山蔘と栽培人蔘の特徴」、第3章「開城の人蔘栽培」、第4章「日本に渡った人蔘」、第5章「人蔘栽培の道のり」、第6章「人蔘の服用法」、第7章「人蔘は何に効くのか」と終章からなり、全編に著者が福島県会津磐梯山の麓に広がる人蔘畑を見て、朝鮮と日本との長い文化交流に思いを馳せた後、丹念に取材を重ねていく様子が細かく書かれている。

 著者は、有機合成化学を専攻した化学者である。しかし、本書ではあえて専門的な成分の生理作用などは取り上げず、薬用人蔘の歴史や分布、効用といった「生活力」を強調している。

 鄭大聲・前滋賀県立大学教授は、「多くの人に高麗人蔘のもつ『力』を知ってもらうこと、そのことは取りも直さず、それが得られる地、それを使ってきた民族への理解になるんだということを、この書は語ってくれている」と記している。

 人蔘は、ストレス、胃の不快症状、更年期障害、便秘の解消、脂肪肝、脳卒中の予防にも効果があるとされている。

 巻末には、「人蔘を配合した漢方薬の処方」(坂本倫子、漢方順天堂薬局)ほか、高麗人蔘産地分布図、東北アジア略年表も収録されている。(同時代社、洪南基著)(金潤順記者)

[朝鮮新報 2005.4.18]