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〈本の紹介〉 朝鮮通信者 豊臣秀吉の朝鮮侵略から友好へ

 教科書の記述をめぐって、東アジア情勢が大きく揺れ動いている。

 その根本にあるのは、日本政府の過去の侵略戦争や植民地支配を美化する恥ずべき態度であろう。

 朝鮮社会科学院歴史研究所は「破廉恥な日本の『独島領有権』主張も、再侵略の野望を実現するための挑発行為であり、朝鮮民族の尊厳と主権に対する重大な侵害行為である」と激しく非難した。

 また、南の盧武鉉大統領は独紙フランクフルター・アルゲマイネのインタビューに答え、「日本の態度は人類社会が追求すべき普遍的価値観と合わない」と述べ、最近の対日関係に言及しながら「侵略と加害の過去を栄光と考える人たちと共に生きるのは全世界にとって大きな不幸だ」(8日付同紙)と強調した。

 また、中国の温家宝首相は、このほど「歴史を尊重し、過去の歴史に責任を持ち、世界とアジアの人々の信頼を得る国だけが、国際社会の中でより大きな責任を持つことができる」と国連安保理常任理事国入りを狙う日本を厳しく牽制している。

 こうした動きの中でこのほど刊行された「日韓共通歴史教材」と銘打つ本書「朝鮮通信使」はタイムリーな企画であると言えよう。

 本書は広島の平和教育をすすめる教師と韓国大邱の教師たちが共同で作成し、初めて書籍となった共通歴史教材である。

 豊臣秀吉の朝鮮侵略とそれに反対する朝・日人民の抵抗、戦後処理としての朝鮮通信使の復活、近世期の豊かな文化交流を軸に日本、南の若者に伝える新しい歴史教科書となっている。

 とりわけ、本書で注目されるのは、秀吉の朝鮮侵略を「人さらい戦争」と規定。その様子を高名な儒学者姜の著書「看羊録」を引用して次のように詳述している。

 「賊船(日本船)600〜700艘が数里にわたってみちあふれており、それらの船にはわが国の男女が日本人と同じくらいいて、船ごとに泣き叫ぶ声が海や山を震わせるほどでした」。さらには、奴隷として売り飛ばすことを目的とした人買い商人がいたこと、彼らは秀吉軍の後をついていき、朝鮮各地で人さらいや人買いをしたと指摘。そして「さらわれた人の中にはポルトガル船に乗せられ、東南アジアで奴隷として売られたり、遠くヨーロッパまで連れていかれた人もいた」と強調。当時、朝鮮から日本に連行された朝鮮人が2〜3万人にものぼると書いている。

 また、本書の朝鮮語版は南の出版社鱒}書出版スンギル社から4月30日、同日刊行される予定。(「日韓共通歴史教材製作チーム」編)(粉)

[朝鮮新報 2005.4.27]