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〈みんなの健康Q&A〉 めまい(下)−原因疾患

 Q:めまいを生ずる疾患の種類は多岐にわたり、診断が難しそうですね。

 A:ごくまれなものも含めると大変な数になります。そこで、ここではふだんよくみられる原因疾患についていくつか紹介することにします。

 まず耳性めまいからお話ししましょう。なんと言っても圧倒的に多いのは「良性発作性頭位性めまい」という舌をかみそうな名前の病気です。

 Q:何となく想像がつくような…。

 A:これは、寝起きや寝返り、見上げたりうつむいたとき、急激に回転性のめまいが起こり、たいていはき気や嘔吐を伴うというものです。目をあけていられない、嘔吐が続くというので、救急車で来ることもめずらしくありません。中高年齢者に多く、横になってテレビを見る習慣、仰向け姿勢の作業、長期のベッド上安静、頭部外傷が誘因となります。頭部の位置すなわち顔の向きによってめまいが増強し、数時間から数日以内に治まってもとにもどるので、このような名前がつけられたようです。とくに中高年の女性で、寝起きの際に回転性めまいををおぼえ、耳鳴りがなく耳もよく聞こえるが、はき気、嘔吐が止まらないという場合には、まずこの疾患を疑います。

 Q:血圧とは関係しないのですか。

 A:めまいがして苦しいときには、その結果として当然血圧は一時的に高く出ます。

 Q:なるほど、そうでしたか。

 A:次いで重要な病気は「メニエル病」です。この名称はみなさんもよく耳にすると思いますが、めまいといえば安易にこの病名がつけられているのでこまります。正確な診断には耳鼻科で専門的検査が必要です。片側の耳の圧迫感を前兆とすることが多く、激しい回転性めまいとブーンとかジーンという耳鳴りや難聴が起こります。発病にはストレスが関係するともいわれていて、心労、職場や家庭のストレスのあとの回転性めまいで耳の圧迫感があれば、この病気が考えられます。 

 Q:この病気の診断はとりわけきちんと診察、検査が必要なのですね。

 A:それ以外では頻度は低いですが、突発性難聴・前庭神経炎・内耳炎は嘔吐を伴う持続性の回転性めまいを引き起こします。また、耳鳴りから始まり、身体が揺れたり歩くと傾くという場合は聴神経腫瘍が疑われます。

 Q:耳性以外ではどのような疾患がありますか。

 A:頻度は比較的低いですが、後遺症や合併症予防という点で初期治療がとても重要な脳梗塞、出血は常に念頭においていなければなりません。これらはCTやMRIなどの画像検査、脳神経系の専門医の診察が必要です。

 それはともかく、実際上しばしば遭遇するのが起立性調節障害によるめまいです。若い女性や高齢者に多く、時に小児にみられます。低血圧などによる脳血流不足、いわゆる立ちくらみですが、身体のゆれや回転性めまいを訴えることもあります。一瞬意識を失って転倒し、頭部打撲で受診ということもまれではありません。とくに血圧を下げる薬を服用中の高齢者では要注意です。

 Q:貧血があるとこういったことを引き起こしやすいように思われますが。

 A:そのとおりです。

 その他意外と多いのが筋緊張性頭痛や脳疲労によるめまいです。前者は、長時間の事務仕事や運転後にみられることが多く、肩こりの延長みたいなもので、頭重感や締め付け感に伴いめまいを生じます。脳疲労によるめまいは、睡眠不足や慢性疲労が原因と考えられています。かぜをひいても休めない、仕事で無理をしがちな若い人によくみられます。

 高血圧や糖尿病があったり、血液のコレステロール値が高い高齢者では、脳動脈がせまくなっていることが多いので、無理をしたり脱水状態におちいると知覚統合中枢である脳幹の一過性循環障害が生じやすく、すぐめまいにおそわれます。これはいわば脳梗塞の前触れといえるかもしれません。

 Q:生活や仕事環境を改善することで予防できるめまいも少なくないということですね。

 A:そうです。まわりの環境あるいは生活習慣が大いに関係しているのです。(金秀樹院長、あさひ病院内科、東京都足立区平野1−2−3、TEL 03・5242・5800)

[朝鮮新報 2005.5.27]