top_rogo.gif (16396 bytes)

〈本の紹介〉 「済州島現代史公共圏の死滅と再生」

 本書は、「済州島という韓国の一地域社会が4.3事件という現代史の一時期に負ったとてつもなく深い傷を、その後の歩を通していかに克服してきたのか、という問題を考えること」(「序章」)に焦点をあわせ、45年の「解放」から現在に至る済州島の歩みの全時期をカバーするものである。

 4.3事件とは、米軍政下にあった1948年4月3日の済州島における武装蜂起に端を発し、その武力鎮圧の過程で3万〜8万人と言われる島民が犠牲となった現代史上の悲劇である。

 事件発生から半世紀以上の歳月をへだてた2000年1月、「済州4.3事件真相究明及び犠牲者の名誉回復に関する特別法(4.3特別法)」が制定され、ようやく問題解決の糸口が見出された。03年には盧武鉉大統領が、政府の公式見解として島民への謝罪を表明した。

 丹念な聞き取りと調査資料をもとにまとめられた1冊。(文京洙著)(潤)

[朝鮮新報 2005.5.30]