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母子の姿素直に表現

第8回こども未来賞入選 徐善美さん

 子育てに関するエッセイを募集した「第8回こども未来賞」(主催=読売新聞社)に千葉県船橋市在住の徐善美さん(43)の「黄色い自転車」が入選した。日本各地・海外からの応募作品数は1045点、そのうち12作品が選ばれた。

 千葉朝鮮初中級学校で音楽講師をしている徐さんは、授賞式に友人が選んでくれた赤と紺色のチマ・チョゴリを着て出席した。作品には結婚祝いにもらった黄色い自転車と2人の子どもとの思い出をつづった。

 10年前、家事、子育て、仕事にフル回転の日々を送っていた頃、保育園に通い始めたばかりの子どもたちとの移動手段はいつも黄色い自転車だった。冬のある日、前には年長組の寛銖くん、後ろにはオムツが取れたばかりの妹の潤華ちゃんを乗せた自転車が転倒。子どもたちはかすり傷だったが自転車は動かなくなった。

 買い換えた自転車で帰宅した後、寛銖くんが泣いていた。「あの自転車が好きだった」。スーパーへの買い物、駅前の公園、自転車で行った場所をたどるように話す息子の言葉に胸をつかれた。

 子どもの母親への呼びかけの言葉を、最初は「ママ」と書き始めたが「オンマ」と直した。「子どもが泣くときに、オンマー、オンマーと泣くじゃないですか。その部分を書いていて、これはママではなくてやっぱりオンマだな、と思って」

 在日朝鮮人母子の姿を正直に表現したかったと思いを語る。当時、保育園に持たせた小さな連絡ノートは20冊を超える。

[朝鮮新報 2005.6.8]