青山島、永宗島住民を無差別殺りく

　日本は、�ﾞ寧夏密書の信憑性を確認するため１８７５年４月２１日に、井上海軍少佐を艦長とする砲船「雲揚号」を釜山に侵入させた。朝鮮側は反応しなかった。「雲揚号」は、５月９日に複数の軍艦を引き連れ、釜山近海で挑発的な軍事演習を行った。朝鮮を守るために来たと思ったのだろうか、朝鮮側はまたもや何ら対応しなかった。「雲揚号」は、東海海岸を測量してから、５月２８日に長崎港に戻った。

　朝鮮側の無反応を好機ととらえた日本は９月２０日、朝鮮王朝の重要な軍事拠点、首都ソウルを守る江華島に「雲揚号」を接近させた。朝鮮側の反応がないと判断した井上艦長は、２０余名の兵士を小舟に分乗させ、草芝鎮砲台に上陸させようとした。

　これに、朝鮮側砲兵たちが警告砲撃を加えると、それを待っていたかのように「雲揚号」が草芝鎮砲台に向かって砲撃を開始した。

　江華島上陸をあきらめた井上らは２２日に無防備の青山島に上陸し、住民たちを殺しながら民家に放火した。２３日には永宗島を攻撃した。永宗島には射程距離７００メートルの砲しかなく、防御はたちまち打ち破られた。上陸した日本軍兵士たちは、６００余名の島民たちを皆殺しにして財物を奪った。

日本の詐欺と脅迫に屈した朝鮮王朝

　１８７６年１月１５日、８００余名の軍人を乗せた６隻の軍艦が、釜山港に入港した。薩摩藩出身の黒田を特命大使とし、長州藩出身の井上を副大使にする「親善の使節団」を名乗った。彼らは、江華島周辺で生じた「雲揚号」事件に関する談判を朝鮮王朝政府に要求した。

　朝鮮王朝は、現職および前職の大臣会議を招集して対応策を論議した。会議は断固として戦うべしの主張と、和議を求める主張が衝突したが、閔妃集団の投降主義が結論となった。

　談判の場で黒田は白黒をあべこべにして、朝鮮側に「賠償」を求めた。朝鮮王朝政府が「賠償」金額の大きさにびっくりすると、条約を締結すれば、「賠償金」は撤回すると脅迫した。

　このようにして１８７６年２月２７日、江華島で�@日本側の治外法権認定、�A日本側の無関税認定、�B日本紙幣の流通認定という不平等条約の「朝日修交条規（江華島条約）」が締結された。

　日本は、日本紙幣で朝鮮の金塊などを買い漁り、それで軍備を拡張した。

　詐欺と脅迫に屈服した李王朝は、まことにだらしなかったが、日本側が行った行為は、謀略的な強盗行為だった。

　「雲揚号」事件と「江華島条約」は、侵略勢力に少しでも譲歩すれば、骨までしゃぶられるという教訓を残した。（鄭誠哲、朝鮮問題研究者）

［朝鮮新報 2005.7.4］