6.15共同宣言5周年記念 金学権ピアノ音楽の個展(U) 統一への願い、曲に込めて |
池辺晋一郎、マルティン・シュカンパさんも出演
6.15共同宣言発表5周年を記念して11日、東京都文京区の東京文京シビックホールで「金学権ピアノ音楽の個展(U)朴令鈴・ピアノリサイタル」が開かれた。 リサイタルでは、在日同胞作曲家・金学権さんのピアノのための組曲「祖国と私」、ピアノのための朝鮮昔話「青がえる」、ピアノのための詩曲「父の話」など全8曲が、同胞ピアニスト・朴令鈴さんの演奏で披露された。 今回初演となるピアノ組曲「我が祖先が残した遺産の前で」は、「広隆寺の弥勒菩薩」「高麗青磁」「李朝白磁」で構成される。 朝鮮赤松の一本彫りで見事な曲線美をもった菩薩像を、千年前の「思母曲」を引用して表現し、青い朝鮮の空に浮かぶ白い雲と鶴の姿を千年前の「青山別曲」を引用して表現した。また、庶民の生活への愛着を「白磁」に込めた。
リサイタルでは池辺晋一郎さんの作曲による「自由をアリランに」も演奏された。この作品は、2002年6.15共同宣言発表2周年を記念して東京で開かれた「アリラン」コンサートで、日本の10人の作曲家たちの合作による「アリラン変奏曲」のうち池辺さんが作曲した部分である。 池辺さんは金さんとのトークのなかで、「人はいつでも社会と関わっている。生きるということは政治と関わること。南北みんなに歌われているアリランが平和のシンボルになるよう願っている」と話した。また、音楽の力に対して、「音楽はとても強い。一つひとつに民族の香りと主張が込められている。音楽は世界の人々に共通の感情を抱かせる。作曲家の思いは演奏家を通じて広く聴く人に伝わる」と語った。 リサイタルでは、チェコ出身のチェロ奏者、マルティン・シュカンパさんの演奏で、「故郷よ」「アリラン」も披露された。 エンディングを飾った「アリラン−我が心情的変奏曲」には、悠久、離別、望郷、玄界灘、蘇生、楽天的、意思、鎮魂、怒り、前進、統一といった「在日の物語」が込められている。
6.15共同宣言発表を記念して、音楽を通じて人々に平和と祖国統一への願いを伝えたいと願う金さんの思いは、朴さんの演奏でみごとに表現された。 茨城県水戸市の張弘順さんは、「一曲一曲に作曲家の想いがぎっしりとつまっていて、そして、演奏家がこの長い曲を一曲たりとも手を抜かず、何のそん色なく弾きあげて、涙が込み上げてくるほどすばらしい公演だった。とくに演奏家の朴令鈴さんはすばらしい。民族の心を知らなければ、ここまで感動させることはできないだろう」と熱く語った。 また、チェコの指揮者、アントニン・キューネルさんは、「とてもすばらしい公演だった。アリランの曲では、朝鮮戦争の悲劇を乗り越えて、今まさに統一へと向かう朝鮮民族の心が伝わってきた」と話した。 リサイタルには東京を中心に約320人が訪れた。金さんは、来年も引き続き「6.15」を記念して音楽会を開こうと考えている。(金潤順記者) [朝鮮新報 2005.7.27] |