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くらしの周辺−「チョンリョン ソンセンニム」

 もう12年も前のことになる。朝鮮大学校理学部(当時)初となる祖国での教育実習。最終日に担任の先生から渡されたノートには、生徒たちの素直な気持ちがちりばめられていた。「先生が教室に入ってこられた瞬間、私は本当に驚きました。ほかでもない先生の体格(注:太ってる)にです。…国の宝としてがんばろうと決心しながら、体育に真剣に取り組まなかった自分がとても恥ずかしくてなりません…」。

 「在日」の私と祖国で育った彼ら。16、17歳の彼らの目に「私」はどう映ったのだろう。短い実習期間ではあったが、自分の気持ちをぶつけた。

 「歌を教えてくれるときも、話をしてくれるときも、真面目に、そして、具体的に教えてくださいました。授業でも、ひとつでも多く教えようと説明され、いつも快活に私たちと時間を過ごしてくれました」「とくに先生が、故郷は南朝鮮だとおっしゃられたときみんな驚きました」「私は幸せで文明な社会主義朝鮮で国の王様といわれ育ってきたので、世界について知らないことが多いです。でも、先生のお話を聞いて、考えることが多かったです」

 彼らは素直に驚き、そして「在日」という奇異な存在について身近に感じていたようだった。卒業を目前に控えた彼ら。男子全員祖国防衛の道に進む。

 「われわれは祖国統一のため、統一戦士となりますが、私もゆくゆくは生物学者になります」

 17歳の選択。そして、夢。12年経った今、ふと彼らを想う。

 「…そして、私も先生みたいに自身の希望を花咲かせてみせます」(成耆鉉、生物学者)

[朝鮮新報 2005.8.1]