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東京第1初中創立60周年記念コンサート「翔」 金英蘭舞踊研究所が主催 同校出身アーティスト、在学生らが共演

「母校に恩返しがしたい」

金英蘭さん

 東京朝鮮第1初中級学校創立60周年を祝し8月27日、東京都荒川区のサンパール荒川大ホールでチャリティーコンサート「翔」が開かれた。

 主催の金英蘭舞踊研究所代表の金英蘭さん(46)は、1965年に同校入学。中級部卒業まで9年間を過ごした。

 「私に民族の熱い心を抱かせてくれたのは朝鮮学校です」

 こう語る金さんの瞳には、勉強、芸術、運動すべての面で好成績をあげていた母校の「黄金時代」がよみがえる。

 金剛山歌劇団の舞踊手として数々の舞台に立ち、退団後、96年に舞踊研究所を設立。その後は後進の育成に情熱を注いできた。

舞踊「向」(金英蘭舞踊研究所の研究生たち)

 ステージには、同校生徒、教員、卒業生、舞踊研究所研究生、同校出身ミュージシャンほか、金剛山歌劇団サムルノリ(特別出演)などが出演。

 舞踊「慶祝」で幕を上げ、語りと歌「学校」、男声独唱「わが故郷」、ピアノ独奏「アリラン」、民族器楽合奏「プクノリ」、合唱「未来の主人公」、軽音楽と歌「明日」など17作品が披露された。

 折しも今年は舞踊研究所が設立されて10周年に当たる節目の年でもあり、それまで金さんが振り付けした群舞「高句麗壁画の舞」、3人舞「光州の夕焼け」、創作群舞「向(ヒャン)」など意欲的な作品も披露された。

舞踊「チェパンウルチュム」

 新作の「向(ヒャン)」は、一滴のしずくがいくつも集まり、次第に海へと流れて行く様子を表現したもの。そこには、「人間も1人では生きていけない。握り合う手と手、ふれあう心と心を大切にして、未来へと共に歩んでいく人々の姿を表したかった。『在日』の1人として、多くの日本の人々、世界の人々と理解し合える日が来ることを心から願う」との金さんの強い願いが込められている。

 解放前、両親が済州島から日本に渡ってきて以来、金さんを含めて6人の兄弟たちはみな、東京第1に通った。夫も、2人の息子も同校出身者である。

舞踊「慶祝」

 「私も兄弟も、夫も子どもも、そして両親も東京第1が大好きなんです。母校で培った民族の心と朝鮮舞踊を持ってぜひ恩返しがしたい。これは私に朝鮮舞踊の指導を熱心にしてくれた祖国の先生たちへの恩返しでもあるから」

 金さんが初級部2年生だった66年、東京第1に祖国から在日同胞の子どもたちのためにと、1番初めに民族楽器が贈られてきた。

 「今は在日同胞たちへの風当たりが厳しいときだからこそ、芸術の世界で活躍する卒業生たちを舞台に上げて、子どもたちに夢と希望を抱かせてあげたかった」

3人舞「光州の夕焼け」

 舞台には、金剛山歌劇団の歌手として全国ツアー中の韓賢徹さん(36期生)や、先日リサイタルを開いたばかりのピアニスト・高紅実さん(23期生)、共和国功勲俳優の歌手・金明淑さん(15期生)、北関東歌舞団歌手の李明順さん(30期生)、歌手の朴琴伊さん(30期生)も登場した。

 公演を見た梁蘭玉さん(70)は、「私は学校には通えなかったが、子どもたちが朝鮮学校に通い、民族の心を持って立派に生きている。本当にすばらしいことだ」と喜び、金英智さん(23)は「公演を見て東京第1の歴史がわかった」、李民花さん(23)は「歴史の長い私たちの母校を、これからも後輩たちが輝かしてくれれば」と感想を述べた。

 公演は、学父母や地元同胞ら約700人が観覧し、収益金100万円が寄付された。(金潤順記者)

[朝鮮新報 2005.9.4]