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〈本の紹介〉 「戦後60年を考える」

 戦前、朝鮮半島の人々は日本の「帝国臣民」として戦争に狩り出された。そして日本人と同じようにケガを負い、亡くなった。それが戦後、日本当局によって、国籍条項の壁が設けられ、いっさいの補償を受けられないでいる。日本で暮らす「在日」の場合、その財源となる税金を払わされながらも、である。

 本書は、アジアと日本の関係史、外国人の人権問題に長年取り組んできた著者の戦後60年目の書き下ろし。

 著者は、「朝鮮人、台湾人が、国家補償が受けられないのは国籍条項の問題。公的排除がまかり通る日本は排外的な国であり、自国民中心主義の国である」と指摘する。

 具体的な当事者とのやりとりを通して、戦後補償裁判から、中国人強制連行、国籍差別問題、外国人学校問題、そしてその解決としての多文化共生社会のあり方を提示する。(田中宏著)

[朝鮮新報 2005.9.7]