エッセイスト　海老名香葉子さん

　日本の敗戦６０年を記念して制作されたアニメ映画「あした天気にな〜れ！　半分のさつまいも」が公開中だ。その原作者で落語家の故林家三平さんの妻。ナレーションは吉永小百合、声優に上戸彩を迎え、幅広い世代へアピールしている。

　生家は江戸時代から代々続いた本所の釣竿師。４５年３月の東京大空襲で家族６人を失う。戦災孤児としてなめた辛酸。人に言えぬ苦労も味わったが、｢下町の太陽」のように明るく生きてきた。夫亡き後も、３０数人の弟子たちを支え、一家をきりもりする。

　テレビ、雑誌などで活躍するかたわら、たくさんの本を出版した。「しゃきっとしていて、たくましくて。朝鮮のオモニのようですよ」と言うと｢そうなのよ、雰囲気がよく似ていると言われるの」とほほ笑む。

　３０数年前、結核で入院していた時、同室の朝鮮女性が歌ってくれた「トラジ」や｢アリラン｣が何よりの励ましとなった。今でも一番の愛唱歌だと語る。

［朝鮮新報 2005.10.12］