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在日同胞画家 呉炳学さんが銀座で個展 「平壌は私の美意識の原点」

作品の前に立つ呉炳学さん(東京・銀座1丁目のギャラリー、アート・ロベで)

 川崎市に住む在日朝鮮人画家・呉炳学さん(81)の個展が10月26日から4日まで、東京・銀座のギャラリーアート・ロベで開かれた。その中には、呉さんが最も好んで描く朝鮮半島の伝統的な仮面の絵や踊り、李朝などの焼き物の絵など約30点が展示された。

 「朝鮮の焼き物は世界最高峰の芸術品。そこには朝鮮民族の美意識が鮮やかに込められている。同じ白でも多彩なニュアンスがあって、一方で静物はどこまでも静物であり、他方では生命感と躍動感にあふれた魅力的なものもある。それを生きたオブジェとして描いてきた」と呉さん。今回の個展ではフランス滞在中に描いたサント・ヴィクトワール(油彩)などの風景画も出品されている。

白磁

 呉さんは日本の植民地支配下の1924年、平安南道平城で生まれた。42年、絵の勉強のため東京へ。解放直後、東京美術学校(現、東京芸大)に入学したが、「期待したほどではなかった」と2年程で中退。独学でセザンヌ、ゴッホ、ピカソなどの画集から学びながら、独特な画風を確立。

 幼い頃から画家をめざし、平壌商業学校に入学後、絵を描くようになった。「19歳まで暮らした平壌の街は、私の美意識のルーツ。仲間と散策した七星門や玄武門、最勝台などの牡丹峰の美しい景観、楽しかった大同江での夏の水泳、冬のスケート、平壌1周マラソンのこと…。あの懐かしい日々が私の体の隅々に朝鮮人の美意識を息づかせているのかもしれません」

サント・ヴィクトワール

 呉さんは世界的な音楽家・尹伊桑の例を紹介しながら、創作の中に朝鮮の感性を息づかせ、普遍化させることで、アーティストの使命を果たしたいと述べ、今後も「芸術のルーツを民族の伝統美に置きながら、表現は世界レベルの普遍的なものにして、朝鮮の魅力を伝えていきたい」と語る。

 「6.15共同宣言によって統一はわれわれの目前にある。引き裂かれた民族を一つにつなぐ芸術の力をみせていきたい」と夢をふくらます。(朴日粉記者)

[朝鮮新報 2005.11.6]