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「ともだち展」を歩んで 平壌の子の自画像、日本へ

 日本に住む子どもたちに出会うため、平壌から5人の子どもたちがやってきた。と言っても、本人ではなく等身大の自画像の絵だ。

 5枚の絵は、この夏「南北コリアと日本の友だち展」(8月20日〜27日)に参加した東京朝鮮第1初中級学校6年生の洪裕花、朴琴希と、東京朝鮮第5初中級学校5年生の李那優、鄭明珠ら4人の共同制作で描かれた。

自画像を制作中の在日の子供たち

 「南北コリアと日本の友だち展」は、日本のNGOが東北アジアの平和を願って催している子ども絵画展で、東京展、平壌展、ソウル展が開催されている。絵画の交流と共に、子ども同士の交流も実現されていて、平壌展に朝鮮学校の生徒が参加するのも今年で3回目となる。「ともだち展」は絵画展なのだから、写真や映像でなく、絵で平壌の子どもの姿を伝えたいという事務局の方々の思いから、等身大の自画像を描いてもらい、日本で紹介しようとなった。こうして今回は、絵画展と交流会だけではなく共同制作が盛り込まれたのだった。

 平壌展の会場でもあるルンラ小学校での共同制作には、4年生のロ・チョルソン、ソク・チノク、ソン・ミソン、チョ・セヒョン、ハム・ソルヒさんの5人が参加してくれた。

 まずは、ルンラ小学校の友だちに「会う」ため、東京朝鮮第5初中級学校5年生の金太駿、朴星真、鄭優希の3人が描いた等身大の自画像をプレゼント。「一緒に来れなかった3人が『絵』になって会いに来ました」と紹介すると、先生も生徒たちも思いがけない「お客さん」に興味津々。

 共同制作に取り組んでくれる5人に「みんなも絵になって日本の友だちに会いに行きましょう」と話すと、目を輝かせて喜んでくれた。二人一組のペアになって共同制作は始まった。大きな紙の上に寝ころんでポーズを決めたら輪郭線をなぞる。絵の具で大まかに色を塗って1日目が終了。2日目は顔や衣服などの細部の描写。難しい部分は、互いに話し合いながら、時には笑いがはじける楽しい作業だった。とくに休憩の時間は、お菓子を口元まで運んでくれるルンラの子どもたちに、教室は和やかな雰囲気に包まれた。

 完成した絵の前でにっこり記念撮影をし、別れを惜しみながらルンラ小学校を後にした。翌日、空港に向かう車中で、平壌の風景を心に刻むように見つめていた那優が「もう一度みんなに会うために平壌に来たい!」と言った。その言葉に具体的な人との出会いから「あの人に会いたい」という素朴な思いが生まれ、そして祖国への思いにつながっていくのだろうと感じた。

今夏の「ともだち展」で子供たちに絵の説明をする金聖蘭さん

 初めての祖国訪問を果たした4人は、平壌での8日間、さまざまな出会いをした。

 ルンラ小学校、チャンギョン小学校、テガン協同農場の託児所の子どもたち。そして、平壌展をサポートしてくれたスタッフの方々と、心通わせることができた。

 今回の平壌展に同行した11人の日本の人たちとの出会いもあった。朝鮮と日本の厳しい関係を感じてか、「朝鮮に関わっている変わった日本の人たち」と平壌に行ったという思いを抱いた裕花は、平壌展を振り返り感謝の言葉をつづっている。

 日本にやって来た平壌の子どもたちの絵は、在日朝鮮学生美術展の東京展(05年11月19日〜23日、品川区大崎のO美術館)で、たくさんの来場者に出会うことになる。

 会場には「ともだち展」から交流が始まった、南の子どもたちと朝鮮学校の生徒たちの等身大の自画像もメッセージを携えて展示される。北と南の子どもたちと、在日の子どもたちが仲良く並び、平和と統一を願うのである。

 「私を伝えたい」「あの子を知りたい」そんな思いをふくらませる場になることだろう。

 「ともだち展」と共に歩んできた5年が、民族の心を育んできた学生美術展とつながり、より豊かになった。(金聖蘭、東京朝鮮第5初中級学校教員)

[朝鮮新報 2005.11.9]