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くらしの周辺−姪のファイティング

 「ウェアジェは明日帰るの?」「うん、明日朝に新幹線乗らんとあかん」「じゃあ、一緒に行かない?」

 こうして始まった、チョッカタル(姪っ子)と一緒の1時間の電車の旅。4年生になった彼女は毎日電車通学。田舎町から一人、その小さな体で電車を乗り継ぎ、ハッキョへ向かう。今日は日曜だが、舞踊の練習で登校。車内での会話が楽しい。

 「ハッキョは楽しい?」「うん、楽しい」。なぜだか、ホッとした。彼女はハッキョの話をいろいろ聞かせてくれた。子供のようで、大人社会の縮図でもあるような、そのリアルな話に耳を傾け、彼女の成長に感心する。ところどころから感じ取る、彼女の小さな正義感。その気持ちがウェアジェには心地いい。

 「電車は本当に退屈」。小さな彼女にとって一時間は長い。通勤ラッシュのなかで、その小さな体は大人たちに挟まれる。ある日は、怖いおじさんに怒鳴られ、ドアが開いた瞬間に走って逃げたという。

 「電車に乗ってるとよくお腹が痛くなるの」。ひとりぼっちの電車通学で、彼女はあらゆる不安を抱きながら、一人で闘い、ハッキョと家を行き来する。娘に遠距離通学させるヌナ夫婦の心配と決断の意味を計り知ることはできないだろう。もう一人のヌナの娘も1年生から電車通学している。

 わがチョッカたちとウリハッキョのトンムたち。そのがんばりはいずれ、人生に大きなプラスとなることを信じたい。

 新幹線改札口との分かれ道。幾度も振り返りながら去っていく彼女。その小さな足の大きな一歩一歩に幸多かれとつぶやいた。(成耆鉉、生物学研究者)

[朝鮮新報 2005.11.14]