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〈3、4、5、6年生対象−新保健教科書(初級部)を活用しよう(上)〉 児童の精神、肉体 順調な発達のため

 2004年に朝鮮学校初級部用の保健教科書が新たに編さん発行された。これまでの保健教育は十分に行われていたとは言いがたい状況だったので、新教科書編さんを機に学校保健を見直そうという機運が高まっている。

 在日本朝鮮人医学協会では2005年11月13日、京都で開催された第28回学術報告会において、初めての試みとして学校保健に関する講演会を開いた。これには同協会員のみならず、全国から朝鮮学校の保健担当教員が参加した。

学校保健

心と体は密接な関係にある

 学校保健は、学校における保健教育および保健管理の両方により構成される。

 精神的にも身体的にも健康な人間を育てることは教育の目的の大きな「柱」である。さらにまた、学校卒業後も生涯にわたって健康な生活を送るのに必要な知識、態度ならびに習慣を習得させることが望まれる。このような意味から保健教育と保健管理は教育の目的達成のために絶対欠くことのできない営みであることは明白であり、学校保健は学校における諸活動の中で最も重要な意義を持つものであると認識しなければならない。

 保健教育というのは保健学習と保健指導に大別されるが、前者は、体育、保健体育の教科における健康に関する学習をさす。保健指導は、具体的には「手を洗いましょう」とか「毎日歯を磨きましょう」といった生活指導の形成を促すものである。

 学校における教育活動全体の中で、学校活動やホームルーム活動はもちろんのこと、これら以外にも修学旅行や林間学校などの学校行事も健康的な生活習慣を教える良い機会となる。

 学校における保健管理は、地域保健や産業保健における保健管理とは異なり、単に医学の視点からだけでなく、教育の視点からも進めなければならない。健康診断を受けることの意義や、たとえ症状がなくても定期的に診察を受ける必要性を教えなければならない。また、健康に問題がないかどうかを調べるだけでなく、健康に問題がないと判定された児童生徒に対しても、健康の保持増進に関する教育的指導が行われなければならない。

 以上のようなことは、朝鮮学校においても同様にあてはまるものである。要約すれば、保健教育の目的は、児童生徒に健康かつ安全で規則的な生活を送るための知識と能力を身につけさせ、精神と肉体の順調な発達を図る、ということになる。

新しい教科書

 日本における保健学習の教育内容を規定している学習指導要領を参考にして、2004年に新たに朝鮮学校初級部用の保健教科書が編さんされた。

 その編さん方針をまとめると、健康な生活、体と心の発達、事故の防止および病気の予防について理解し、規則的で健康的な生活習慣を身につけ、安全な生活を送るための能力を養う、というものである。日本でも3、4学年および5、6学年に分けて教科内容が呈示されているが、朝鮮学校においても同様に区分した。

 保健授業をするための時間はどの程度確保されているのか、学校によってまちまちだと思われる。今後、1年間で低学年では4回、高学年では6回の授業が最低限必要と考えられる。1回あたりの授業時間は45分だが、これは現場の状況に合わせて配分すればよいだろう。今回の教科書を実際に手にとって見てもらえればわかるように、色彩豊かな漫画が多くて非常にわかりやすい構成をとっている。

 3、4年生に対しては健康な生活、体と心の発達および事故の防止という3つの項目で構成されている。5、6年生に対してはさらに病気の予防という項目が追加されている。これには病気についての基礎知識を教えることにより、病気の対処法やかかったときの心構えを身につけやすくしようという意図がある。(金秀樹、あさひ病院内科)

[朝鮮新報 2005.12.2]