〈第84回全国高校ラグビー大会〉 大阪朝高、底力を発揮し3回戦へ |
2年連続出場を果たした大阪朝鮮高級学校は1回戦の東海大翔洋高校(静岡)、2回戦の若狭高校(福井)を下し3回戦に駒を進めた。「昨年、花園に置き忘れたものを取り戻しにいく」と誓いを立てた大阪朝高ラグビー部。昨年度大会の2回戦敗退は乗り越えた。大阪朝高は1日、ベスト8を賭け、昨年敗北を喫した正智深谷高校(埼玉)と対戦する。主将の河勇吉選手(3年)は、「必ず雪辱を晴らす」と気合十分だ。 「緊張したけど決める自信」
「あらためて全国大会の怖さを知った」。大阪朝高の金信男監督(43)がこう振り返るように、初戦の東海大翔洋との対戦は観客たちをハラハラさせるゲーム展開となった。 大会関係者によると初戦は「朝高有利」の声が高かった。朝高は前半、2本のトライとペナルティーゴールで12点を奪う。対照的に東海大翔洋はペナルティーゴールを決めただけで、12−3で前半を折り返した。 しかし、後半に入って立て続けにペナルティーゴール、トライ、ゴールを許し大阪朝高は12−13と逆転される。 試合終了5分前、大阪朝高選手らには焦りの色が見え隠れしていたが、そこから底力を発揮。相手陣地に勢いよく攻め込んだ。
試合終了直前の後半30分、相手陣地に必死に攻め込んだ大阪朝高は、ゴールライン近くでペナルティーゴールを得る。大喜びする同胞大応援団に、ベンチの監督とコーチ、選手らは「静かに!」とのジェスチャーを見せる。 キッカーは10番スタンドオフの趙顕哲選手(3年)。緊張の一瞬だ。固唾を飲んで見守る同胞ら。会場は一瞬にして静まりかえった。 「緊張したけど決める自信はあった。最後まで負ける気はしなかった」(趙選手) ゴールを決めた瞬間ノーサイドの笛が鳴り、15−13の劇的な逆転勝利。同胞らは総立ちで選手らを祝福した。 「伝統ある朝高ラグビーを」 2回戦の若狭高校との対戦は敵陣内で強力なモールで着実に得点を重ねた朝高が有利に試合を進めた。
後半に2つのトライを許したものの、朝高が完全に試合の流れを掌握。7トライ、4ゴール、計43点の圧勝で試合を決めた。 1日、大阪朝高と対戦するシード校の正智深谷は、8年連続10回出場の強豪だ。2回戦の札幌山の手高校(南北海道)に89−5で圧勝。レギュラーに2人のトンガ人留学生(共に3年)を擁し、速い展開と機動力でチャンスを演出する。 とくにウィングのクリスチャン・ロアマヌ選手の突破力は超高校級で、高校生レベルではなかなか止められないとの評判だ。 金信男監督は1、2回戦を振り返り、「まだまだ反省すべき点が多く、全国の厳しさを感じている。選手たちはベストを尽くしてよく戦っている。次の正智深谷戦では精度の高いラグビーを見せたい」と語った。 主将の河勇吉選手(3年)は、「伝統ある朝高のラグビーを同胞たちにしっかり見せたい。必ず昨年の借りを返す」と意気込んだ。 [朝鮮新報 2005.1.1] |