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世界女子プロボクシング選手権 勝利にわく平壌 朝鮮の3選手が世界王者に

 【平壌発=文・姜イルク、写真・盧琴順記者】既報のように、世界女子ボクシング理事会(WBCF)選手権3試合が6月28日、平壌の柳京・鄭周永体育館で行われ、朝鮮のキム・グァンオク、リュ・ミョンオク、チェ・ウンスンの3選手が世界王者に輝いた。また、ライトフライ級審査競技で北のハン・ヨンスン選手が南のハン・ミンジュ選手を破り、世界選手権の挑戦権を獲得した。同日、北側と南側、中国の男女選手らによるアマチュア競技7試合(女3、男4)も行われた。世界女子プロボクシング選手権の平壌開催、北南選手の世界戦での対決とアマチュア選手の交流はいずれも初めて。場内を埋め尽くした観衆は朝鮮選手の勝利でわいた。

注目の朝米、朝・日対決

WBCF世界女子プロボクシング大会で3階級を制覇した朝鮮の選手たち。左からスーパーフライ級のリュ・ミョンオク、バンダム級のキム・グァンオク、ライトフライ級のチェ・ウンスン [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 選手権は2分10R。最初の競技では、朝鮮のチェ選手と米国のウボン・ケプリス選手が戦った。

 国旗を先頭にそれぞれ両選手が入場したあと、国歌が流れた。観覧者全員が起立した。

 チェ選手は「米国は朝鮮人民の宿敵。絶対に負けられなかった」という。核問題をめぐって朝米が激しく対立する中、観客らも全く同じ感情だった。朝鮮への敵視政策を続ける米国、日本への反発が今回の競技に対する期待と関心をさらに高めたと言える。

 チェ選手が劣勢に立たされたときは大きな声援を送り、猛攻撃を仕掛けたときは総立ちで歓声をあげた。歓声はラウンド終了のゴングを聞き取れなくするほどだった。

 対メキシコ戦に続いて行われた対日本戦もまったく同様だった。キム選手が終始日本のマーベラス森本選手を圧倒し、場内はわきにわいた。

 朝鮮選手の勝利が伝えられた瞬間は、割れんばかりの拍手と歓声が上がった。

 「胸がスカっとした」というのが観客らの一致した感想だった。

米国選手に大きな拍手

平壌の柳京・鄭周永体育館で行われた世界女子ボクシング選手権 [朝鮮中央通信=朝鮮通信]

 平壌で初めて開催された選手権では、異例とも言える光景も多く見られた。

 「米国のウボン・ケプリス選手に拍手を送りましょう」

 リングアナウンサーは出場者を紹介しながら、朝鮮の選手だけでなく相手側選手にも大きな拍手を送ることを促した。また、国際審判員の資格を持つレフリー、ジャッジ、さらにはリングドクターまでも紹介。会場からはそのたびに拍手が起きた。相手側選手と国際機構メンバーを歓迎、尊重する雰囲気が演出された。日本での選手権戦では決して見られない光景だった。

 受賞式も異例だった。

 競技が終わるごとに行われた受賞式では、パク・サンゴンWBCF会長(「韓国ボクシング協会」会長)がリング上で勝者と握手を交わし、記念撮影まで行った。

 選手権に先立ち、北側と(7人)と南側(6人)、中国(1人)の男女選手らによるアマチュア競技が行われたが、主催者はこの名称を「雰囲気を盛り上げるための男女アマチュアボクシング競技」と名付け、勝敗は付けなかった。

 今回の選手権平壌開催は、パク会長をはじめとする、北南交流協力事業を活発に推進させようとする関係者らの努力もあって実現した。

 北と南の選手らは競技後、互いに笑顔で握手を交わしながら再会を誓っていた。

 北南のアマチュア選手によるボクシング交流は初めて。朝鮮ボクシング協会によると、今後の北南間のボクシング交流と関連した合意事項はまだないというが、今回の競技が活発なスポーツ交流の土台となったということだけは事実だ。

 選手権戦の結果及び勝者のひとこと(上が勝者、カッコ内は国籍と通算成績)

◆ライトフライ級(48.98キロ)
 チェ・ウンスン(朝鮮、10戦7勝2分1敗)×ウボン・ケプリス(米国、10戦3勝1分6敗) 判定3−0(97−94、98−94、96−95)

 「想像より相手はパンチ力があった。しかし米国には絶対に負けられないという一心だった。熱烈な声援に力を得て勝てた」

 ◆スーパーフライ級(52.16キロ)
 リュ・ミョンオク(朝鮮、10戦7勝2分1敗)×エリザベス・サンチェス(メキシコ、14戦10勝4敗) 2R50秒TKO

 「必ず相手をKOするという気持ちで戦った。自信はあった。今回の結果に満足せずに今後も練習に励みたい」

 ◆バンタム級(53.52キロ)
 キム・グァンオク(朝鮮、7戦7勝)×マーベラス森本(日本、13戦9勝4敗) 判定3−0(100−89、100−89、100−90)

 「数回、もろにバッティングを受けた。そのダメージがあってか、7Rあたりからつらかった。勝ててうれしい」

[朝鮮新報 2005.7.7]