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WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ 洪昌守選手、王座奪還 「必ず勝つ」気合いひしひしと

 WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦が18日、大阪市中央体育館で行われ、前王者で同級4位の洪昌守選手(30、金沢)が王者の川嶋勝重選手(30、大橋)を3−0の判定で破り、見事王座に返り咲いた。日本国内歴代3位タイの世界戦10勝目で、同一世界王座への返り咲きは国内7人目となった。戦績は35戦31勝(8KO)3敗1分け。リング上で約1年ぶりにチャンピオンベルトを掲げる姿に会場に駆けつけた同胞、日本人らは「チョッタ! チャンス!」などと声援を送り、ともに勝利をかみ締めていた。

「自分のリズムで」

王座に返り咲いた洪昌守選手

 おなじみの金色のヘアに青いトランクスの洪選手がアボジに肩車され、チャンピオンベルトを手に掲げた。

 「自分のリズムで最後まで戦うことができた。みんなの応援のおかげです」−洪選手の甲高い声が久しぶりに会場に響いた。

 互いの戦績を1勝1敗とし、迎えたラバーマッチ(決着戦)。「完全決着」を制したのは洪選手だった。ブランクを微塵も感じさせない試合運びで、得意のアウトボクシングを存分に発揮した。序盤から鋭い左ジャブと右ストレートで川嶋選手の顔面を的確にとらえた。

 川嶋選手も左右のショートフックで攻勢に出るが、クリンチと素早い動きで洪選手はパンチをかわし切った。

序盤から積極的に川島選手を攻める洪昌守選手

 12回にダウンを奪われるも決定的なダメージにはならず、3−0の判定で劇的復活を遂げた。

 9度目の防衛戦では、川嶋選手に1回107秒でTKO負けという屈辱を味わった。一時は引退を考えた。

 しかし、「自分のプライドを取り戻すため」と復帰を決意した。

 前評判では「川嶋KO勝ち」や「洪選手限界説」が飛び交う中、それらを持ち前のボクシングで一蹴してのけた。洪選手の潜在能力、それに裏付けられたハードトレーニングが実を結んだ。「自分のプライドのため」「必ず勝つ」という気合いが相手を打ち負かした。

半分以上が応援

歓喜にわく応援団

 「イギョラ! ホン・チャンス!」「徳山! 徳山!」−同胞と日本人らの声が会場に響き渡った。半分以上が洪選手の声援で、その声援で「川嶋」コールがかき消されるほど。

 会場には朝青大阪が準備した各横断幕が掲げられ、青い朝鮮半島が描かれた「統一旗」を振って同胞、日本の若者らが一緒に声援を送っていた。声をからして応援していた日本の人たちの中には、洪選手の勝利後、「洪選手の活躍は、在日の人たちを勇気づけるもので、同時に私たちにとってもとてもうれしい」と語る人もいた。

 「とにかくこの日を待っていました」と話すのは高滋喜さん(34、会社員)。

 「最初見た時から絶対に勝つと思っていた。みんなに夢を与える姿ってやっぱり感動ですよ。今日の勝利した姿を見ると涙が出そうです」と興奮気味に語った。

 生野商工会で働く康賢大さん(21)は生での応援は初めてだと話しながら、「これからもずっと世界チャンプであり続けてほしい」と願う。

 大阪朝高ボクシング部の選手らも、会場でひときわ大きな声援を送っていた。

 8月から始まるインターハイへの出場が決まっている朴善暉、尹成龍選手(ともに3年)らは、「相手の攻撃を寄せつけないボクシングはさすがだと思った。会場に入ってくる洪選手を見ながら、必ず勝つというオーラが伝わってきた。インターハイへの励みになった」と口をそろえていた。(金明c記者)

[朝鮮新報 2005.7.21]