全国ママさんバスケット大会 3年連続出場「オンマーズ」 みんなバスケの虫 |
出産、育児乗り越え 一生続けたい バスケットボール好きの大阪在住のオモニたちで結成された「オンマーズ」。チーム年齢は32〜47歳と幅広く、ほかの日本のママさんバスケのチームよりもその数ははるかに少ない。そんななか、第24回全国ママさんバスケットボール交歓大会が7月22〜24日にかけて広島県立総合体育館で行われ、一般の部56チーム、シニアの部24チームが参加。大阪代表のオンマーズは3年連続で出場した。今大会、韓国マザーズバスケットボール協会代表チームが来日し、日韓親善試合が行われたほか、オンマーズが代表して記念品を贈呈した。近年頭角を現し始めたオンマーズ。結成から今日に至るまで、彼女たちには隠されたさまざまな思い、ドラマが詰まっていた。 トップレベルのチームと 「オンマーズ」が全国大会に初出場したのは第22回の東京大会。昨年の大会ではDブロックで見事優勝を果たし、今大会は全国のママさんチームのトップレベルが集うAブロック(8チーム)に組み込まれた。初戦でブルーズインズ・レッツ(埼玉)に40−72で敗れたものの、翌日の敗者戦ではさがえくらぶ(山形)に61−60で接戦をものにし一矢を報いた。結局、Aブロックで優勝したのはブルーズインズ・レッツだった。 主将の金順喜さん(39)は、「ママさんと言えどもここまで差があるんだと再確認した。しっかりした目標が新たにできたので次につなげたい」と笑顔で語った。 気持ちでは負けない
「気持ちでは誰にも負けていませんから」とオンマーズのオモニらは断言する。確かに「ママさん」だからと言ってなめてはいけない。全国大会はレベルが高く、常に本気モード。勝負へのこだわりが顔ににじみ出る。ディフェンスやボールの奪い合い、当たりも激しい。体当たりで吹っ飛ぶ選手もあちらこちらで見られた。 オンマーズは1987年に結成された。メンバーのほとんどが各朝高のバスケットボール部や大阪、兵庫、愛知の籠球団出身者。 日本では「ママさんバレー」が盛んだが、「ママさんバスケ」の認知度は低い。
オンマーズも今でこそ朝高や朝大、各籠球団とも対等に渡り合えるようになったが、結成当初は各大会で相手にされなかった。 当時、結婚するとバスケットを断念せざるをえなかった。というのも、結婚したら「バスケをやめる」というのが当然のように考えられていたからだ。結婚後の家庭生活、出産に育児…。家庭とバスケを両立するため、当初はメンバーが集まらず練習もままならないこともあった。 オンマーズ監督で在日本朝鮮人バスケットボール協会の康勲会長(58)は、「当初、家庭婦人のチームがここまで成長するなんて想像できなかった。ここにいるみんなは『バスケットの虫』。オモニになってもバスケを続けたいとの思いが彼女らをここまで成長させたんですよ」と語る。 「夫より長い付き合い」
姜範淑さん(47)と金英姫さん(46)は結成当時からのメンバー。共に朝鮮大学校体育学科で同大バスケ部出身、それぞれウリハッキョ教員を5年間務め、大阪籠球団に所属した。結婚後もオンマーズで共に活動するため30年もつながりがある。 「自分の旦那より付き合いが長いんですから」と笑い飛ばす2人。子どもたちもその影響を受けてか、バスケ部に所属している。 オンマーズ初代主将の金さんは、「当初は『あんたまだバスケットなんかやってるん!?』『結婚してまでやるのはしんどいんとちゃうの?』っていう人がほとんど。『がんばってるね』なんてほめ言葉はなかった」と苦笑い。「家庭を持ったオモニたちがここまでやるのは本当にバスケットが好きだから。今ではこうやって全国の舞台にみんなで立てるのが本当にうれしいですね」と語る。 東大阪中級のバスケットボール部コーチで女性同盟東大阪北支部の委員長(非専従)でもある姜さんは、「出産や育児でメンバーが離れて、練習も2、3人の時もあったけど、それでも続けてきた。途切れずにやってこられたのもみんなバスケットが好きだから。少々のつらさは覚悟してやっています」とほほえむ。 明るく楽しく 幼い子どもを抱えるオモニたちもいる。辛徳順さん(33)には2歳の子どもがいる。愛知から大阪に嫁いでオンマーズに入った。「家族の生活にも優先順位があるけど、結婚するときにバスケを続けるのが条件でしたから」と笑顔で。 「子連れの方が楽。みんなが面倒見てくれますし。夫も子どもさえ連れていけば夜何時になってもいいって言ってくれています。大会前なんか毎週土日に練習いってましたから(笑)。周りの協力なしに今の自分はいないですね」 沈里美さん(32)は兵庫籠球団出身。大阪に嫁ぎオンマーズに入ったのが30歳の時。2歳の長男と5カ月の長女を抱えながらバスケットを続ける。 「温かい人たちばかりですぐに溶け込めた。みんな明るくて楽しくてパワーがあって。家庭があるのでバスケットは一番じゃいけないけど、家族の理解もあるし。子どもと一緒にバスケットするのが何よりいい」 オンマーズのみんなが「(バスケットを)一生続けたい」と口をそろえる。恐るべし!?、バスケット人生に幸あれ。(金明c記者) [朝鮮新報 2005.8.1] |