建国57周年記念 在日朝鮮学生中央体育大会 3日間の熱い戦い |
朝鮮民主主義人民共和国創建57周年記念在日朝鮮学生中央体育大会が1日から3日まで、東京・駒沢競技場ほか都内および関東地方の競技場、朝鮮大学校体育館、大阪朝鮮文化会館などで開かれた。 大会には高級部11、中級部39校の学生たち約2000人が出場して3日間熱戦を繰り広げた。 高級部部門はバレーボール、バスケットボール、野球、ラグビー、卓球、テニス、陸上、柔道、ボクシング、空手の10種目で男女16競技が行われ、中級部部門はサッカー、バレーボール、バスケットボール、陸上、卓球、柔道の6種目、男女10競技が行われた。 その結果、今年も大阪朝高がバレーボール(男女)、バスケットボール(女)、ラグビー、卓球(男)、テニス、柔道、ボクシングの8競技で団体優勝し、中級部部門では東大阪朝中がバレーボール(男)、陸上(男女)、卓球(男女)、柔道の6競技で優勝した。中級部サッカーでは愛知朝中が優勝した。 そのもようを振り返ってみる。 ▽サッカー(中級部) 愛知、逆転で3年ぶり2度目の優勝 「必ず勝つ」強い気持ちが上回った
サッカーの中級部決勝は京都朝中×愛知朝中。 京都は昨年の中央大会でロスタイムにゴールを決められ敗退し、悔しい思いをした。その次の日から、悔しさをはらすかのように走り込みを行ってきた。年間で対内外約80試合をこなし、生徒らの休日は10日ぐらいしかないという。試合前、文峯秀監督(27)は「接戦のすえにここまで勝ち上がってきた。技術よりも走るサッカー、気持ちで負けないサッカーをしたい」と語っていた。 一方、毎週日曜日に練習試合を行ってきたという愛知の金明徳監督(33)は「パスで崩すサッカーにこだわりを持っている」。そして、決勝に臨むにあたっては「パスワークで崩していくサッカーをやりたい」と意気込みを語った。 試合は前半15分、サイドからのボールをヘディングでつなぎ、京都が先制。この一瞬を「失点直後、自分たちのサッカーができなくなった」と振り返った愛知の車健人副主将(中3)。試合は1−0で京都朝中リードのままハーフタイム。京都の文監督は「まだ0−0だと思って最後まで走り優勝しよう」とイレブンにハッパをかけた。愛知の金監督は「走りで負けている。もっと必死にプレーしろ」と檄をとばす。
後半、試合は愛知のディフェンダーがイエローカードを受けたことを機に、ヒートアップ。そして試合終了間際の後半25分、ついに愛知朝中はゴール前の混戦から1点を返す。試合はそのまま前後半5分ずつの延長戦にもつれ込んだ。休憩を終えて決戦のグラウンドへと向かう両校の選手らは「最後の試合、がんばろう」と声をかけあった。それでも決着はつかず、PK戦へ。2、3本目をはずした京都に対し、着実に決めた愛知朝中が勝利を手にした。選手らはゴールキーパーのもとへとかけ寄り歓喜に浸った。 李晃輔主将(中3)は「練習はきつかったが、自分たちの3年間の成果が今日、結果としてでた」と涙ながらに語り、李主将のアボジ、李孝俊氏(40)は「練習でたくさんの汗を流したたまもの」と表情を緩ませた。 金監督は「素直にうれしい。選手全員が一生懸命に走った。最後は技術ではなく必ず勝つという気持ち、メンタルの面で勝ることができたのではないだろうか」と語った。(李東浩記者) ▽ボクシング(高級部) インターハイ出場者ら10人含む33選手が熱戦
ボクシング競技(高級部)は1〜3日にかけ、大阪朝鮮高級学校ボクシング場で行われた。今回は東京、大阪、神戸、広島朝高の4校から今年度のインターハイ出場者10人を含む33人の選手が出場した。 大会では1部トーナメントのほか1年ぶりに女子競技が行われ、2部オープン戦、スパーリングも行われた。1部トーナメントには8階級、33人の選手が出場した。注目を集めたのがインターハイ出場者同士の対決となったライト級とウェルター級の決勝戦。 ライト級では東京の金隼基選手(3年)と大阪の尹成龍選手(3年)が対戦し、尹選手が判定で勝利。ウェルター級では、インターハイのミドル級で準優勝した東京の李英行選手(3年)と大阪の朴善暉選手(3年)が対戦し、李選手が判定で勝利した。結果、大阪5人、東京2人、広島1人がそれぞれ優勝。団体優勝は大阪朝高となった。 東京の李選手は、「全国大会とは舞台が違うが、伝統ある大会で優勝して高級部最後をいい形で締めくくろうと試合に臨んだ」と語っていた。また、惜しくも敗れた朴選手は「倒しにいこうと思ったがダメだった。悔しさが残る試合だった。これからは後輩たちの指導にあたりたい」と語った。
一方、女子競技には大阪から5人、神戸から2人の選手が出場。シャドーボクシングとマスボクシングで演技を競い合った。 在日本朝鮮人ボクシング協会の李学宰会長は、「今大会、2部戦とスパーリングを通して1、2年生らが高い水準にあることを確認できたが反則も多かった。来年の全国大会を見据えてしっかり練習に励んでほしい」と選手らを激励した。 競技終了後、参加者全員で焼肉パーティーが行われた。選手、監督、応援に駆けつけた父母らは焼肉をほおばりながら会話に花を咲かせていた。また、WBC世界スーパーフライ級王者の洪昌守選手も応援に駆けつけ、選手らを鼓舞した。 洪選手は焼肉パーティーの席で、「朝高生らはとてもいい試合を見せてくれた。もし、将来ジムを経営することになったら子どもをうちのジムへ入れてください」と話し、周囲を和ませていた。(金明c記者) ▽バスケット(中、高) 東京第4 初同校のアベック優勝
中級部男子15、女子13チーム、高級部男子7、女子4チームが出場したバスケットボール大会の決勝戦は3日、板橋の小豆沢体育館(1、2日の予選は駒沢体育館)で行われた。 中級部の決勝戦は男女ともに東京第4×京都初中との対戦となった。 京都男子は去年の優勝に続き2連覇を、女子は26年ぶりの優勝をかけて、一方東京第4の男子は初の優勝を、女子は去年に続く2連覇を、そして両チームともにアベック優勝を目指して試合に臨んだ。 両者ともに絶対負けられない試合となった。 予想通りの接戦となり、男子は53−50と3点差で東京第4が、女子も接戦のすえ、東京第4が勝利を手にした。 東京第4は、同校初のアベック優勝を果たした。 東京第4男子の金修吉主将は「勝つことだけを考えて試合に臨んだ。初優勝できてほんとにうれしい」と感想を述べた。 一方、高級部の男子は99−68で神戸を倒した東京が2連覇。 女子は、参加チーム4校で去年に続きトーナメント形式で行われた。勝利数で東京と大阪の試合が事実上の決勝戦となった。女子は近年、大阪が急激に実力をつけてきている。去年、念願の東京を負かし30年ぶりの優勝を手にした大阪。今年もその勢いは衰えず試合開始からチーム、個人と安定したプレーで点を重ねていった。東京も追いつこうとしたが、勝利への執念に勝る大阪が77−69で2連覇を飾った。 今大会を振り返って、大会委員長である在日本籠球協会の康勲会長は「選手たちは惜しみなく練習の成果を発揮した。近年、関西の選手たちの活躍がめざましい。各チームが良い刺激をうけて常に向上していってほしい」と選手たちの健闘を称えた。(盧琴順記者) ▽バレーボール(高級部) 男女ともに大阪が優勝 つらい練習を乗り越え
バレーボール部門は草加市スポーツ健康都市記念体育館で行われた。今回、高級部では男女ともに大阪朝高と神戸朝高が決勝に進んだ。 女子は接戦のすえ、大阪が勝利した。今大会、男子は3チーム(大阪、神戸、東京)中、大阪を除き、1、2年生での参加となった。1年間、この大会での優勝をめざし、つらい練習を乗り越えてきた選手たち。 大阪は1セット目、高いブロック、強烈なアタックなどでスタートダッシュに成功し、前半を15−10で折り返した。終盤、神戸がリズムを取り戻し、23−23の同点に追いついたが、粘りでまさった大阪が1セット目をものにした。 2セット目に入り、神戸が先制するが、大阪もすかさず反撃。点差はだんだんと開き、12−6となったところで神戸はすかさずタイム。が、波を取り戻せず、25−10で大阪が勝利した。 試合後、大阪李誠漢監督は「今大会の優勝が今後の大阪市での大会につながるいい機会になった」と今大会を振り返った。金政慶主将(3年)は「1年間、つらい練習が続いたが、みんなの力で優勝することができた」と喜びを語った。(李幸英記者) ▽空手(高級部) 神戸朝高の鄭選手、2連覇
高級部空手部門は朝鮮大学校体育館で行われ、型競技部門で、男子は広島(個人、韓秀峯)、女子は大阪(個人、姜知衣)が団体、個人ともに優勝した。 また、組手の女子団体で優勝した東京の文知世選手(高3)は「(型で)大阪に優勝をさらわれたことでみんなが心を一つにして力を出し切らなければと思った」という。男子団体は神戸が優勝した。 最終日の個人組手には女子、男子ともに多くの選手が出場し、盛り上がりを見せた。 大阪対決となった女子決勝(李麗旭×姜知衣)では、お互い一歩も引かず延長へ。優勝した姜選手は、「(李選手とは)ずっとライバルで、いつも同点か、1点差だった。1年ぶりの真剣勝負だったので緊張した。万年3位と呼ばれてきたが、最後に優勝できてよかった」と語った。一方の李選手は「絶対に負けたくない相手だった。試合には負けたが、全力でぶつかったので、悔いはない」とさわやかに語った。 一方の男子決勝(神戸朝高、鄭勇喜×東北朝高、金雄哉)では、終始ポイントリードしていた鄭選手が順調に有効を重ね一本勝ちを決めた。鄭選手は「2連覇できてうれしい。無敗で大会を終えたことが3年間の練習の成果だと思う。団体戦を一緒に戦った後輩、同級生、応援してくれた人たち、指導員、みんなに感謝している」と語った。(安愛麗記者) [朝鮮新報 2005.9.6] |